【解説】ハラスメントの概要と種類、職場でハラスメントが起きてしまった場合の注意点

この記事が役立ったら、シェアをお願いします。

ハラスメントとは、「相手を困らせること」「嫌がらせ」などの意味を持つ言葉です。

近年ハラスメントは、ますます多様化しており、100種類以上のハラスメントが列挙されています。今までは当たり前だと考えられていた行為も、時代の流れとともに「ハラスメント」に該当する行為だと認定され、世間で批判される行為と明示されるようになりました。

このような変化に伴い、企業におけるハラスメントへの厳重な対策がより一層求められています。

そこで今回は「ハラスメント」の概要から種類、社内でハラスメントが発生したときの注意点まで紹介いたします。

ハラスメントの概要

ハラスメントとは、「相手を困らせること」「嫌がらせ」などの意味を持つ言葉です。相手が不快に感じたり、相手に不利益を与えたりする行為はすべて「ハラスメント」に該当します。またハラスメントに該当するか否かは、行為者の意図は関係ありません。受け手が不快に感じたり、不利益を被ったと感じたりすれば、その行為はハラスメントに当たります。

ハラスメント行為による受け手の不利益は、犯罪に該当するだけでなく、民事訴訟の対象となり、法的責任を追求されることになります。また、加害者の罰則だけでなく、監督する企業にも以下のようなリスクが生じます。

・被害者に対し企業の責任として賠償金を支払う必要がある
・被害にあった人材が流出するだけでなく、ハラスメントが発生する職場での就労を嫌がり他の退職者がでる
・ハラスメントが散見される環境による精神的苦痛により従業員の生産性が低下する
・企業イメージやブランドが低下する

ハラスメントが発生すると、賠償金を支払うこと以外にも企業にとってのリスクや不利益があるのです。ハラスメントは法的に防止する対象にされたものだけではなく、ハラスメント全般への対策は、企業リスクを減少させることにも繋がります。

ハラスメントの種類

ハラスメントの種類は多岐にわたります。

代表的なものとして、厚生労働省が職場のハラスメントとして列挙している「パワーハラスメント(パワハラ)」「モラルハラスメント(モラハラ)」「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」「マタニティハラスメント(マタハラ)」があげられます。

法律面の整備もハラスメントの認知度の拡大と共に進んでおり、2020年には「パワハラ防止法」という法律の試行が開始されました。国や地方自治体、企業なども積極的にハラスメントの対策に乗り出しています。

パワハラ防止法については下記の記事で詳しく紹介しています。
【解説】労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の概要と変遷

近年はさらにハラスメントの種類が増加しており、テレワークが普及してからは、テレワーク中の言動を常に監視したり、業務に必要な範囲以上のチャットを送ったりするなどの行動を指す「テレワークハラスメント」というオンライン上のハラスメントも登場しています。

他方でハラスメントの種類の増加は、他者への精神的苦痛に対する社会の意識を高める利点がありますが、何にでもハラスメントをあてはめるという問題、例えば管理責任をもとにした職場での正当な指導ができなくなるなどの問題も指摘されています。

ハラスメントと感じるか否かには主観的な部分が含まれることや、現状はハラスメントの定義も曖昧であることからハラスメントと業務上の指示等との境界線が明確でない場合もあり、対策にはまだまだ改善が必要です。企業側も、ハラスメントの線引きを法務部門と検討の上、疑われる事象が起こらないよう、社員全員に注意喚起する必要があります。

以下、具体的なハラスメントの種類をいくつかご紹介します。

セクシュアルハラスメント

セクシュアルハラスメントとは、「性的な嫌がらせ」という意味で用いられる言葉で、ハラスメントの中でも「セクハラ」と略され世間に広く認知されています。日本では、1989年の職場でのセクシュアルハラスメントを理由とした民事裁判がきっかけとなり、同年の新語・流行語大賞を受賞したことから認知されるようになりました。近年では男性から女性に対するハラスメントだけでなく、女性から男性に対するハラスメントや同性間でのハラスメントも発生しており、注目を集めています。

法律面では男女雇用機会均等法において、職場での性的な言動が原因で「労働条件の不利益を被ること」や「就業環境が害されること」がないよう、必要な措置を講じなければならないと規定されています(男女雇用機会均等法第11条1項)。

セクハラに該当する具体的な行為としては、
・容姿や、恋愛・結婚等プライベートに言及する行為
・性的な関係の拒否をきっかけに職場で相手を無視する行為
・性的な事柄を社内に暴露する行為
などが挙げられます。

また、厚生労働省では、職場でのセクシュアルハラスメントを「対価型セクシュアルハラスメント」と「環境型セクシュアルハラスメント」に分類しています。

「対価型セクシュアルハラスメント」とは、労働者の意に反する性的な言動(誘いなど)に対し、拒否や抵抗を行うことにより、解雇、降格、減給、不利益な配置転換などの不利益を受けることです。

「環境型セクシュアルハラスメント」とは、労働者の意に反する性的な言動により就業環境が不快なものとなり、労働に重大な悪影響が生じるなど就業する上で看過できない程度の支障が生じることです。

参考:厚生労働省「Ⅲ 「職場におけるセクシュアルハラスメント」の種類は」

パワーハラスメント

パワーハラスメントも「パワハラ」という略語で、世間で広く認知されているハラスメントの1つです。パワハラとは、職場での優先的な立場を利用した嫌がらせ行為のことを指します。パワハラについては、先ほども述べたように、2020年から「パワハラ防止法」が施行されました。

パワハラに該当する具体的な行為としては、
・部下の人格を否定するような罵倒行為
・派遣社員を不当に扱う行為
・上司が先導して集団で特定の部下を無視する行為
などがあります。

一方で、「逆パワハラ」という言葉もあります。通常のパワハラは、「上司から部下に対する嫌がらせ」を指しますが、逆パワハラは「部下から上司に対する嫌がらせ」を指します。
逆パワハラの具体例としては、
・パソコンに疎い上司を罵倒する
・上司の業務命令を無視し続ける
などがあります。

職場のパワーハラスメントについては、厚生労働省による定義では、「職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすもの。」とされています。

アルコールハラスメント

アルコールハラスメントとは、飲酒を強要する嫌がらせ行為のことを指します。また厚生労働省の定義では、「一気飲みの強要」や「意図的にたくさん飲ませて酔い潰す行為」もアルハラの1つです。また、相手にお酒を飲ませるだけでなく、自分がお酒を飲んで酔っ払い、迷惑行為を行うこともアルハラに当たります

カラオケハラスメント

カラオケハラスメントとは、カラオケで歌うことを強要する行為です。音痴だと自覚している人や積極的に歌わない人に対して、無理矢理マイクを持たせて歌わせる行為はハラスメントに当たります。

またカラオケハラスメントのその他の行為としては、
・選曲の権利を与えず勝手に曲を入れる行為
・デュエットを強要する行為
などが挙げられます。

スメルハラスメント

スメルハラスメントとは、臭いが原因で周囲を不快にさせる嫌がらせのことです。ハラスメントに該当する臭いの種類としては、体臭やタバコ、香水などがあります。職場の上司や先輩などの臭いは、改善してほしいと伝えることが難しいため、身だしなみ以上に気をつけてほしいという意見もあるのです。

ただしスメルハラスメントを逆手に利用して、パワハラ行為を行う人もいます。夏場の汗など、対策しても多少匂ってしまうものに対しても、スメルハラスメントを訴える人もおり、ハラスメントと不可抗力の自然現象との線引きが難しい場面もあります。

SOGIハラスメント

SOGI(ソジ)ハラスメントとは、LGBTなどの性的マイノリティの方々に対する差別的な言動や嫌がらせ等のことです。

「SOGI」とは「Sexual Orientation and Gender Identity(性的指向及び性自認)」の略で、「SOGIハラ」と略されます。

性的マイノリティであることを蔑む行為や、当事者の許可なく周りに言いふらす「アウティング」といったものが該当します。

なお、LGBTについての概要と企業が気を付けておくべきことについて、以下の記事で解説していますので、併せてご確認ください。
【解説】LGBTの概要と企業が気を付けておくべきこと

テレワークハラスメント

テレワークハラスメントとは、テレワークやWEB会議におけるハラスメントに該当する行為のことです。「リモートワークハラスメント」とも呼ばれます。

テレワークハラスメントに該当する行為としては、
・オンラインミーティングを不必要に強要する行為
・子どもの声や生活音などに対する苦情
・室内や服装等に言及したり、それらを映すことを求めたりする行為
などがあります。

テレワークハラスメントは、新型コロナウイルスの感染拡大でリモートワークが増加した影響もあり、注目を集めている比較的新しいハラスメントの概念です。

ハラスメントが起きた場合の注意点

先述の通り、ハラスメントについては主観的な部分もあるため線引きが難しく、十分に気を付けているつもりでハラスメントが起きてしまう(訴訟の対象となる)可能性が捨てきれません。そこで、社内でハラスメントが起きてしまった時の注意点について、以下の2点を取り上げて紹介いたします。

企業には事実関係の調査義務がある

社内でハラスメントの相談があった場合、企業には「事実関係の調査」を行う義務があります(厚生労働省職場におけるハラスメント関係指針)。
「どのような状況下で生じたのか」「本当にハラスメントがあったのか」「相談者は過剰に被害を話していないか」などの確認が必要です。

ハラスメントの行為者として訴えられる立場の従業員は、疑いの目で周囲から見られてしまいがちですが、企業として事実調査を行うときは、職場の地位などに関係なく中立な立場で事実確認をする必要があります。

相談内容等を口外しないことを関係者と約束する

社内窓口でハラスメント被害の相談があり事実関係調査を行う場合は、相談内容等を口外しないことを関係者と約束することで、より詳細に事実を聞き取ることができます。

相談者からの相談時・相談者へのヒアリング時は勿論、行為者とされた社員や第三者へのヒアリング時も同様です。加えて、第三者へのヒアリング時には、第三者から周囲に口外しないことを約束してもらう必要もあります。

なお、相談があった場合や調査をする際に改めて伝えることも勿論大切ですが、予め社内に周知しておくことで相談自体がしやすくなるため、相談窓口と併せて周知しておきましょう。

また、行為者とされた社員への聞き取りには原則として相談者の承諾を得る必要があります。
さらに、第三者へのヒアリングを行う場合には、相談者だけでなく行為者とされた社員の承諾も得ておくことで、のちに企業側に責任が問われることを防ぐことができます。

まとめ

今回はハラスメントの概要から種類、ハラスメントが発生したときの注意点まで紹介いたしました。

ハラスメントにはたくさんの種類があり、時代とともに法律も整備されています。企業としてハラスメントの対策を進めることは、今後さらに重要な労務関連の仕事となります。人事担当の方はしっかりと、「ハラスメント」の知識を抑える必要があります。

The following two tabs change content below.
投稿者アバター
働き方改革サポ編集部
ネクストプレナーズは働き方改革の様々な提案を行っております。ブログによる情報発信に加えて,セミナーも開催しておりますので是非ご参加ください。

働き方改革・人事制度に関するご相談は

  • 当社は、賃金・報酬制度、退職金・企業年金制度、社宅制度等の企業の制度設計コンサルティングだけではなく、業務改善、評価制度、社員教育、SDGs、RPA、AI-OCRなど働き方改革を支援しております。人事分野でお困りなことがございましたら、ご相談ください。

この記事が役立ったら、シェアをお願いします。