【「テレワークという働き方」に対する人々の意識】テレワーク導入・継続検討の際は「いままで」を疑う

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前回に引き続き、緊急事態宣言解除に伴い多くの企業でテレワークの導入(検討)もしくは継続をストップしていることを受け、テレワーク導入・継続を検討する際に留意すべきことについて記事を書いている。
テーマは以下の3つである。

1.緊急事態宣言が解除された今、テレワーク導入・継続は不要なのか
2.何故テレワーク導入・継続は不要もしくは優先順位が低いと判断されるか
3.テレワーク導入・継続検討の際は「いままで」を疑う

このうち、1つめの「緊急事態宣言が解除された今、テレワーク導入・継続は不要なのか」については前回の記事でお伝えした。

今回お伝えしたいのはそれ以外の2つ、
「何故テレワーク導入・継続は不要もしくは優先順位が低いと判断されるか」、
そして「テレワーク導入・継続検討の際は『いままで』を疑う」である。

結論から言うと、今回の記事は、「『働く=出社』と思ってるのであれば、出社の必要性を検討したほうがいいです」という内容になっている。

なので、「ここが解決されればテレワークでも生産性を維持できる(から一旦出社に戻ったけどテレワーク出来るように工夫中)」という企業は、
前回の記事で「その検討作業は急務」とお分かりいただけただけで十分なので、そのまま進めていただきたい。

しかし、もし今「出社が当然なんだからテレワークじゃなきゃダメな理由がなければ出社で」と思っているのであれば、是非最後まで読んでいただきたい。

テレワークの導入・継続は何故不要もしくは優先順位が低いと判断されるか

前回の記事にて、「緊急事態宣言が解除された今、テレワーク導入・継続は不要なのか」
という点について、
・不要どころか今まで以上に急を要する業務になった
・今後もテレワークの導入と継続の検討、ひいてはテレワークでも充分に成果が出せるような組織づくりをしていく必要がある
と結論付けた。

では何故、必要であるはずのテレワーク導入・継続が不要もしくは優先順位が低いと
判断される(緊急事態宣言解除に併せてテレワーク導入・継続もストップする)のか。

それは、未だ多くの人の中で、「“働く”といえば“出社”」が基準だからである
前回記事の冒頭でも述べた「元に戻ろう」にもリンクする。

テレワークは緊急事態宣言時に対応するためだけにあるわけではない。
今回のような感染症拡大時や災害等の緊急時に有効(この点についてはもはや必須)であるだけでなく、人材確保や生産性の向上、コストの削減にも有用な制度である。

元よりこれまでもこれらのメリットについてはアピールされてきたが、
とりわけ人材確保の面については、前回記事にて述べた通り、
導入することでこれまで以上に大きなプラスを生み出す一方で、
“導入しないこと“がマイナスを生み出す可能性も、これまで以上に大きくなっている。

しかし、テレワークの導入・継続を検討する際、あくまでも「出社」を当然とし、無意識に
「テレワークの必要性」「テレワークの相当性」
という視点のみで検討を進めている企業は意外にも多い。

中には、「テレワークの必要性・相当性」の検討もせず、「出社しない必要性(政府からの強い要請の有無)」のみで判断している会社もある。

「これから」のテレワークの必要性と相当性や出社しない必要性にフォーカスするあまり、
「いままで」の出社の必要性と相当性に着目できていないのである。

※冒頭でも述べた通り、勿論、テレワーク導入検討・継続がストップしてしまった企業の中には、出社の必要性・相当性まで十分に鑑みた上で、「現状では不足しているところがあるのでこのまま継続すると生産性が著しく落ちる(のでそこを解消するまで出社してもらうしかない)」と判断した企業もあるだろう。
そのような企業について言えば、今まで「働くといえば出社」を念頭に組織を構築してきてしまっている以上、そのような弊害が発生し、すぐには解決できないことがあるのは仕方ないといえる。
「テレワークを継続するには不足している」と判断された部分を見直していけばいいだけの話である(しかし、それが今までと比べて急務になっていることは前回記事にて述べた通りである)。

「テレワークの必要性」もしくは「出社しない必要性」のみを検討する思考の根底には、
「仕事は“会社”でするもの」
「テレワークはイレギュラー」
「テレワークしないのが当たり前」
という固定観念が根強く残っている。

そのような企業では、多くの場合、
「今まで出社できていたんだからそれほど必要性は高くないだろう」
「必要性が高ければ、今までにテレワークをしたいという相談を受けているはず」
「出社していた時と比べ、テレワークの方が、生産性が(圧倒的に)上がるとは言い難いし
相当性が高いとは言えない」
と判断される。

この時、今後テレワークを希望する(かもしれない)従業員個々の事情は勘案されにくい。
仮に、企業側では充分と思えるほど検討しても、どの程度必要性を感じているか、どの程度重視しているかは結局のところ主観であり、客観的にわかる(見える)範囲には限界がある。

テレワークの必要性という観点のみで検討しようと思うと、どうしても企業側のテレワークに対する意識と、従業員のテレワークに対する意識が乖離するのである。

「でも出社を覚悟で入社してきたんでしょ?」という反論もあるだろう。
しかし、入社時にその人が持っていた判断基準は、状況(判断材料)の変化とともに変わっていくものだ。

今までは、日本の大部分においてテレワーク導入が進んでいなかった。
そのため、従業員の多くも「出社が当たり前」「テレワークはイレギュラー(か、余程進んでる企業のみ)」「できなくても仕方ない」という前提で会社を選んでいたため、テレワークの重要性は確かにそれほど高くなかったかもしれない。

しかし、前回の記事で述べた通り、今回多くの人が「テレワーク導入がある程度進んだ社会」を経験し、その前提は変わった。
従業員の中で、テレワークの重要度がぐんと高まった可能性も、大いにあるのである。

つまり、今後は「入社時は殆どの会社でテレワークできなかったから、テレワーク出来ない中でも一番条件の良かった会社に入社したけど、今回の件で似たような条件でテレワークができる会社が見つかったからそっちに移ろう」と決意する従業員が出てくる可能性があるということだ。
テレワークの重要度の高まり具合によっては、その他の条件では大きく勝っている会社にすら、「テレワークができない」ことを理由に、優秀な人材をとられかねない。

テレワーク導入・継続検討のときは、「いままで」を疑う

しかし、「じゃあ今日から無条件にテレワークOKで」とも当然いかないだろう。
では、テレワーク導入・継続を検討する際には何を考えればいいか。
言うまでもなく、「出社」の必要性と相当性である。

「出社を念頭に置いた上で、テレワークを排除する理由を考える」
「出社を念頭に置いた上で、テレワークでなければならない理由を考える」
のではなく、
「テレワークを念頭に置いた上で、出社しなければならない理由を考える」
「テレワークを念頭に置いた上で、出社でなくてもいいように工夫する」
ということだ。

簡単に言えば、今までの業務の見直し・改善である。
この作業は、何も変えなくてもテレワークでできる業務を見つけたり、
環境等を整えて業務をテレワークでもできるようにしていったりするような、
テレワークに合わせた業務の見直し・改善だけではなく、
出社時に当たり前のように行っているが、実は非効率的な部分の発見と改善
も、同時に行っていく必要がある。

「この作業はテレワークだと効率が悪いから出社の方がいい」と思ったら、
続けて「でもテレワークで効率が悪くなるということは、(出社だったから気付きにくかっただけで)そもそもこの業務自体が効率悪いのでは?」と疑う。

「今まで何故出社させていたのか?」
「それはテレワークでは代替不可能(出社を継続させる必要がある)か?」
「その業務は従業員が会社に来て対応しなければ進まないか?」
「その業務は本当に必要か(業務自体を廃止もしくはテレワークに準じた内容に変更できないか)?」
「出社とテレワークのメリット、デメリットを比較したとき、出社のメリットが残るか?」

テレワークで「何となく効率が下がった」と思うなら因果関係を突き詰める必要がある。
そしてそこでテレワークと生産性低下がどう関係しているのかわかったら、
今後はそこを「下がらないように工夫」していく必要がある。

「紙のデータが多い」なら、電子化していく。
「評価が正しく下せない」なら、評価制度を見直す。
「研修ができない」なら、オンライン研修に切り替える。
「対面じゃないとマネジメントが上手くいかない」なら、マネージャーを育てる。
簡単なことではないものも多いが、だからと言って、出社を継続するならやらなくていいというものでもないことは明白であろう。

「テレワークじゃ今まで通りできないから」という話もよく聞くが、
環境が変わる以上、テレワークでも「”今まで通り“やろう」としてもそれは不可能に近く、
当然失敗に終わる。
勿論、今まで通りもしくはそれに限りなく近い形でできることは、様々な負担を軽減するためにも今まで通り進めていくべきであろう。

しかし、変化が求められることも当然たくさんあるのである。
「今まで以上の生産性を出すためにテレワークの利点を活かした工夫をしていこう」という、一歩進もうとする姿勢が、テレワーク導入に生産性の向上を伴わせる。

前章では、「テレワークの必要性という観点のみで検討しようと思うと、どうしても企業側のテレワークに対する意識と、従業員のテレワークに対する意識が乖離する」と指摘した。

「テレワークはイレギュラー」という考えから思考を解放させ、

従業員にとってどの程度テレワークが必要かは一旦横に置いた上で、
「出社の必要性」「出社の相当性」自体を、今一度考え直す時が来ている。

出社の必要性と相当性を検討し、それでも出社すべきだと判断されたのであれば、
その企業ではその通り出社が適切なのだろう。
そして、その企業で働くに適しているのは、テレワークではなく出社を自身のワークスタイルに合った働き方とする従業員であるということである。

勿論、接客業や工場など、テレワークに向かない業種もあれば、テレワーク導入のための
環境を整備する費用を用意することが困難という企業もあるだろう。
そのような企業では、費用面では助成金を利用したり、業務面では出社しなくてもこなせる一部の部署・一部の業務を抽出したりして、段階的にテレワークを進めていくほかない。
しかし、そのような企業でも、テレワークが可能な業務の検討や助成金の申請などと並行して、「いままで」を疑う必要があるのである。
「いままで」と変えていい(変えられる)部分が見つかれば、もしかしたらそれは出社じゃなくてもできることになるかもしれないし、費用も掛からないかもしれないのである。

最後に

今回は、「働く=出社」という固定観念によりテレワークを行わない会社があるという状況を問題視し、テレワークに対する人々(特に従業員)の意識が変化していること、そしてそれに比例した企業側の意識を変化させる必要があるという視点で、「テレワーク導入・継続検討の際は『いままで』を疑う」必要があるということを終着点とし、意見を述べてきた。
冒頭にも述べた通り、私の知る限り、「働く=出社」という固定観念に基づいてテレワークを行わない決断をした会社は意外と多い。

しかし、「意外と多い」ものの、実際のところ、テレワークの検討や継続をやめた会社の多くは、何かしら「出社の必要性・相当性」があると判断しているのだろう。
今後の課題は専ら、個々企業により、「テレワークをした方がいいことは分かっている(し、したい)が、出社を免れない事情がある」ことであろう。

前回の記事の最後にも紹介したが、
当社では従業員各自が今回のテレワーク体験を踏まえ、感想は勿論、
テレワークならではの工夫やコツ、必要な環境・スキル等を記事にしている。
「テレワークをした方がいいことは分かっている(し、したい)が、出社を免れない事情がある」という企業の皆様に、是非、テレワーク導入・継続検討の際の参考にしていただきたい。

◆テレワーク体験レポート

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社員 A の場合
社員 Kの場合
社員 Oの場合
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最後に、今回の趣旨とはそれるが、そもそも今回の緊急事態宣言解除に伴い一斉とも呼べるテレワーク解除が起こったことが、筆者には甚だ疑問であった。
緊急事態宣言が解除されたからといって、自粛が一切不要になったわけではないし、
第二派も懸念される状況において、これからもなるべく「密集」「密接」が起こらないよう注意していく必要があることは言うまでもない。

今までテレワークで仕事ができていた企業においては、余程切羽詰まっていない限りは当面テレワークを継続し、外出を余儀なくされている人々が間隔を空けるための“空間”を明け渡すべきではないだろうか。

それとも、“余程“、つまり第二派が起こるリスクを甘受してでも従業員を出社での勤務に戻す必要があるほど、切羽詰まっていた会社ばかりなのであろうか。

今後、今回のように外出自粛を余儀なくされた場合に慌てることなく事業を継続するためにも、
全ての人々が自らに合った働き方で柔軟に仕事をするためにも、
恒常的にテレワークという働き方を選ぶことができる社会が出来上がっていくことを
強く願うばかりである。

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働き方改革サポ編集部
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