テレワーク手当はいくらが妥当?各社の支給額や支給対象、支給月、想定用途を紹介

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新型コロナウイルスの感染拡大を契機として多くの企業で導入の進んだテレワークは、それに伴う価値観の変容なども影響し、感染拡大防止策としての一過性の導入ではなく、今後の常態の働き方として本格的に導入している企業も少なくありません。

テレワークの本格導入に踏み切るには懸念があると考えている企業であっても、未だ終息の見えないコロナ禍においては、付け焼き刃的になる部分があっても一先ず運用できる体制にはしておこうと考えている企業も多いようです。

そのようにテレワークを今後も継続して活用していこうと考えている企業の中では、テレワークの長期化に向け、テレワーク(在宅勤務)手当の支給を検討する動きが加速しています。
特に、「テレワークを推奨or指示」している企業では、「テレワークも可能」としている企業に比べて、手当支給に関する従業員からの要望も強くなりやすくなることが想定されるため、手当の支給検討はマスト且つ優先事項であると言えます。

しかし、これまでテレワークの導入準備を十分に進めてこれたわけではない企業にとっては、「テレワーク手当」と言っても、いくら支給すればいいのか、何についての費用を支給すべきか(用途をどう指定すればいいか)、いつから支給すればいいのか(テレワーク開始月に遡及して支給する必要があるのか)など、気になることが多いかと思います。

そこで、今回は既にテレワーク手当の支給開始or支給決定を公表している企業の①支給額②支給対象③支給開始月④想定用途を紹介します。

本記事で紹介する事例は殆どが大企業のものですが、テレワークによる従業員の負担は基本的には企業規模によるものではありません(業務内容や居住地等には依るかもしれませんが…)。
中小企業であっても、概ね同様の金額が妥当であると考えられますので、凡その支給額相場の確認や想定用途の検討の際に是非ご参考にしてください。

テレワーク手当導入企業

※参考として社名の後ろに本社所在地と従業員数(グループで実施している旨の発表がある企業以外は単独の人数)を記載しています。

ドワンゴ(東京都、従業員数約1,000人)

支給額  :20,000円/月(アルバイトは日額1,000円、上限月20,000円)
支給対象 :在宅勤務対象の正社員・契約社員、アルバイト
支給開始月:2020年7月
想定用途 :記載なし
その他  :出社時の交通費は、定期代ではなく経費精算での支給
2月17日から電気代・通信費等手当(551円/週)を支給していたが
在宅勤務制度恒久化に伴い毎月20,000円の手当に変更

ドワンゴでは、7月1日より在宅勤務制度を本格導入するとともに、対象の正社員・契約社員には、在宅勤務手当として月額20,000円(アルバイトは日額1,000円、上限月20,000円)を支給することを発表しました。
同社では2月17日から電気代・通信費等手当として551円/週を支給していましたが、罪悪勤務手当の支給に伴い6月末で廃止するとしています。
また、出社時の交通費は、定期代ではなく経費精算での支給とすることも発表しています。

出典:ドワンゴ・在宅勤務制度を7月1日より本格導入、恒久化へ 対象者へ毎月2万円の手当を支給決定

ミクシィ(東京都、従業員数約1,000人)

支給額  :10,000円/月+必要設備購入費用(上限20,000円)、特別賞与50,000円
支給対象 :直接雇用の正社員や契約社員、エキスパート社員、アルバイトら約1,000人
支給開始月:2020年6月
想定用途 :光熱費やネット回線費(10,000円)、机やいす、モニターなど、
リモートワークに必要なものの購入費(上限20,000円)
その他  :一律の通勤手当を一時中止

ミクシィは、光熱費やネット回線費などリモート環境維持のための手当として月額10,000円を支給するほか、3月には机やいす、モニターなど、リモートワークに必要なものの購入費を、20,000円(税別)を上限に支給することを発表しました。
代わりに、一律の通勤手当は5月分で一時中止するとしています。
更に、6月10日にはリモートワークをしている直接雇用の正社員や契約社員、アルバイトら約1,000人を対象に50,000円の特別賞与を支給することも発表しています。

出典:朝日新聞デジタル・ミクシィ、リモートワークに特別賞与5万円 バイトにも
ミクシィ・ミクシィが新型コロナ対策でやったこと、やっていること
ミクシィ・新型コロナウイルスと向き合ってきた4ヶ月を振り返ってみた

メルカリ(東京都、従業員数約1,000人)

支給額  :60,000円(半年分)
支給対象 :記載なし
支給開始月:記載なし、支給発表(2020年4月)以降に一括支給
想定用途 :自宅での勤務環境構築やオンライン・コミュニケーションなどのため

メルカリは、自宅での勤務環境構築やオンライン・コミュニケーション(チーム・ビルディング)などのために、60,000円(半年分)の在宅勤務手当を支給することを発表しました。

出典:メルカリ・メルカリCEOから緊急事態宣言を受けてのメッセージ

ヤフー(東京都、従業員数約7,000人)

支給額  :最大7,000円/月
支給対象 :全国の正社員、契約社員、嘱託社員 全7,104人
支給開始月:2020年10月
想定用途 :どこでもオフィス手当4,000円+通信費補助3,000円
その他  :通勤定期券代の支給停止(通勤交通費は実費支給)

ヤフーは、時間と場所に捉われない新しい働き方へと移行する施策の一環として、最大月7,000円の補助(どこでもオフィス手当4,000円+通信費補助3,000円)を行うことを発表しました。
※どこでもオフィスとは、2014年から設けられたオフィス以外の好きな場所で働けるリモートワークの制度です。
反面、通勤定期券代は支給停止とし、通勤交通費は実費支給することとしています。

出典:ヤフージャパン・ヤフー、“無制限リモートワーク”で新しい働き方へ

ホンダ(東京都、従業員数約25,000人)

支給額  :250円/日
支給対象 :記載なし
支給開始月:2020年10月
想定用途 :テレワークでかかる通信料や光熱費
その他  :通勤手当の固定支給を廃止し、実費精算に切り替える

ホンダは、10月から1日あたり250円の在宅勤務手当を支給することを発表しました。
テレワークでかかる通信料や光熱費の負担を減らし、定着を促すことが狙いとしています。
一方、通勤手当については固定支給を廃止し、実費精算に切り替える方針です。

出典:読売新聞オンライン・【独自】ホンダ「テレワーク手当」1日250円…通勤手当は廃止、実費精算

富士通(神奈川県、従業員数約129,000人)

支給額  :5,000円/月
支給対象 :国内グループ従業員 約80,000人
支給開始月:2020年7月
想定用途 :在宅勤務の環境整備費用
その他  :通勤定期券代の支給廃止

富士通は新しい働き方「Work Life Shift」推進の一環として、国内グループ全従業員に対してテレワーク勤務を基本とすると共に、月額5,000円の在宅勤務の環境整備費用補助を行うことを発表しました。
反面、通勤定期券代については支給廃止するとしています。

出典:富士通・ニューノーマルにおける新たな働き方「Work Life Shift」を推進

NTTグループ(東京都、従業員数約319,000人)

支給額  :200円/日
支給対象 :国内約180,000人の全従業員
支給開始月:2020年10月
想定用途 :在宅勤務をするにあたり必要となる、自宅のパソコンなどの環境整備や
その他の出費に充てるため
その他  :在宅勤務率が5割以上の部署では通勤定期代の支給を廃止し、
通勤にかかった交通費を支払う

NTTグループは、10月から、国内約180,000人の全従業員に1日あたり200円の在宅勤務手当を支給すると発表しました。
反面、在宅勤務率が5割以上の部署では通勤定期代の支給を廃止し、通勤にかかった交通費を支払うように変更することも発表しています。

出典:NTT・2020年度 第1四半期決算、業績予想について
NTT・社長記者会見
日本経済新聞・NTT 10月から在宅勤務手当 通勤費は実費支給

ソフトバンク(東京都、従業員数約17,000人)

支給額  :4,000円/月
支給対象 :全従業員約20,000人(正社員のほか、契約社員やアルバイトも対象)
支給開始月:2020年9月
想定用途 :在宅勤務にかかる備品代や光熱費のほかマスクや消毒液の購入費

ソフトバンクは、新型コロナウイルス禍の中での勤務を支援するため、9月から全従業員(正社員のほか契約社員・アルバイトも含む)約20,000人に月4,000円を支給することを発表しました。
在宅勤務にかかる備品代や光熱費のほか、マスクや消毒液の購入費に充ててもらう目的です。

出典:Yahoo!ニュース共同通信・ソフトバンクがコロナ手当支給 全従業員2万人に月4000円

日立製作所(東京都、従業員数約33,000人)

支給額  :3,000円/月
支給対象 :全従業員
支給開始月:2020年6月
想定用途 :在宅勤務に必要な費用や出社する場合のマスク・消毒液など
感染予防対策に必要な費用

日立製作所は当面の感染リスクを踏まえた従業員への支援の中で、全従業員に対して、在宅勤務に必要な費用や出社する場合のマスク・消毒液など感染予防対策に必要な費用に対する補助として、1人当たり3,000円/月を支給することを発表しました。
そのほか、従業員が在宅勤務のために購入した、情報機器(モニター、Wi-Fiルーターなど)や作業机・椅子などの物品購入費用を補助することも併せて発表しています。

出典:日立製作所・在宅勤務を変革のドライバーとする働き方改革を推進

ダイドードリンコ(大阪府、従業員数約700人)

支給額  :3,000円/月
支給対象 :全従業員(正社員、契約社員、パート社員、再雇用社員計約800人)
※月15日以上就業した社員に限る
支給開始月:2020年7月21日
想定用途 :光熱費、直行直帰の営業途中の空き時間に発生する出費等
その他  :通勤定期代の支給は廃止し、出勤にかかった交通費を精算

ダイドードリンコは、生産性向上とワーク・ライフ・シナジーの実現を目的に、全従業員(正社員、契約社員、パート社員、再雇用社員計約800人)を対象に月3,000円のテレワーク手当を新設することを発表しました。
一方、通勤定期代の支給は廃止し、出勤にかかった交通費を精算する方式をとるようです。

出典:ダイドードリンコ・新たな働き方をバックアップ!「テレワーク手当」を導
日本経済新聞・ダイドードリンコ、毎月3000円のテレワーク手当

キリンホールディングス(東京都、従業員数約31,000人)

支給額  :3,000円/月
支給対象 :常態として週3日以上在宅勤務を行う国内のグループ社員 約4,000人
支給開始月:2020年10月
想定用途 :業務にかかる費用補填(光熱費など)並びに新たな働き方の支援のため
その他  :通勤手当の支給方法を実費精算に変更

キリンホールディングスは、10月から常態として週3日以上在宅勤務を行う国内のグループ社員を対象に、業務にかかる費用補填(光熱費など)並びに新たな働き方の支援を目的として毎月3,000円の在宅勤務手当を支給することを発表しました。
一方、通勤手当の支給方法については実費精算に変更するとしています。

出典:キリンホールディングス・「『働きがい』改革KIRIN Work Style3.0」の取り組みについて

カオナビ(東京都、従業員数約150人)

支給額  :50, 000円(一括支給)
支給対象 :記載なし
支給開始月:記載なし、支給発表(2020年4月)以降に一括支給
想定用途 :机や椅子、モニター、PC周辺機器、インターネット環境等の整備

カオナビは、従業員を対象に実施した在宅勤務に関するアンケートで、自宅における就労環境が整っていないことに関する意見が多く見られたことから、机や椅子、モニター、PC周辺機器、インターネット環境等、一人ひとりが必要な用途で就労環境を整備できるように、「在宅勤務支援金」という形で一人当たり50,000円を一括支給することを発表しました。

出典:カオナビ・カオナビ、With/Afterコロナを見据えた新しい働き方へ在宅勤務の環境整備支援を拡充

まとめ 支給額の平均と主な用途


以上、12社の事例を紹介してきました。
そこから見えてきた支給額の平均や主な用途、支給時期等は次の通りです。

支給額

多くの企業が一番に気になっていると思われる支給額は、上記で紹介した企業の平均は約7,000円ですが、低くて月3,000円、高くて月20,000円と結構幅がある結果となりました。
特に地域や企業規模に比例しているということはなく、これは、企業がその手当をどのような費用に充ててもらうことを想定しているかによって異なっていると考えられます。

用途

用途については光熱費テレワーク環境の整備のための費用に充てることを想定している企業が多いようですが、テレワーク開始時点における自宅環境は一から整備が必要な人もいれば、私用の設備を代用できるため殆ど必要ない人もおり大きく個人差があることなどから、用途は指定せず、一律で支給しているという企業もあるようです。

具体的にどのような内訳を想定して支給金額を決定しているかは明らかにされていませんが、手当を出している殆どの企業では、水道光熱費、通信費、業務上必要となる文具等の消耗品費(単価数百円~千円程度のもの)等は企業で一部または全部を負担する形が採られていそうです。

一方で、単価数千円以上のPC周辺機器や机、椅子等の環境整備にかかる費用については、月3,000円程度の手当額では補填できそうにありませんので、手当額を比較的低額に設定している企業では想定用途に含めていない可能性が高いです。
但し、従業員にそれらの作業用品その他の負担をさせる定めをする場合、就業規則にその旨記載する必要があること(労働基準法第89条第5号)からも、その費用全額を従業員負担としている企業は多くないと思うので、既存の会社の備品を貸し出すか、別途補助しているところが多いでしょう。今回紹介した事例の中でも、日立製作所は別で補助することを発表しています。

支給開始時期

支給開始時期については、今回紹介した企業では2020年6月~10月の支給開始が殆どでした。
支給開始前、特に緊急事態宣言中もテレワークを行っていた企業が多いかと思いますが、支給決定前のテレワーク期間に遡及して手当を支給する旨の発表をしているところは見かけていません

また、毎月支給ではなく一括支給としている企業も散見されました。
一括支給には、最初に自腹を切ることなく周辺環境を整えられるというメリットがありますので、サブモニターを用意してもらう必要のある職種に就いていたり、インターネット回線や業務用のデスク・チェア等を一から整備する必要があったりする従業員が多い場合は、一括支給も検討するとよいかもしれません。
(但し、同手当内に一定期間分の水道光熱費等のランニングコストも含む場合は、その旨の説明も行い、初月に使い切ってしまっても追加の手当は出ないことを理解してもらう必要があります。)

その他

その他、テレワーク手当の支給と併せて、交通費を固定支給から実費精算に変更する旨を発表している企業が多くありました。
その分オフィスワーク時より交通費が削減されるため、出勤の殆どない部署や従業員についてはテレワーク手当と相殺になっていることも多いようです。

最後に

今回はテレワーク手当について、各社の事例を紹介しました。

検討期間中もテレワーク中の従業員側の負担は増加している

本来はテレワーク運用開始前に手当についても検討し、テレワーク導入月から支給するか、支給しないのであればその理由を含めた周知を事前に行っておくことがベストですが、今回このコロナ禍で取り急ぎ導入した多くの企業では、そこまで検討が進んでいない場合もあるでしょう。

その点については従業員の理解を得やすいでしょうし、数か月分であればテレワーク中の従業員の追加負担も大きな金額というわけではない場合が殆どだと思いますので不満もそれほど募らないかもしれませんが、それが半年以上、ひいては年単位となっていくと、負担も大きくなってくるため、従業員からの要望や不満が出てくる可能性もあがってきます。
そのため、従業員が不満を持ち始める前に、検討と周知・対応を行うことが望ましいです。

手当の費用の捻出が難しいなら福利厚生全体の見直しを

また、企業の中には、テレワーク手当の費用を捻出することが難しいと考えている企業もあるかもしれません。
しかし、従来の福利厚生を現状の自社に最適なものに変更したり、交通費のようにテレワーク導入により削減できる費用を充てたりすることで、費用負担をテレワーク開始前と同額程度に留めたり、場合によっては負担減につなげたりすることもできます。

福利厚生は、一度導入したら何年も変更や廃止を行わないことが殆どです。
一方で、働き方や環境の多様化に伴い、手当なども導入当初からの目的にそぐわなくなってしまっていることも往々にしてあります。
そのため、今回のコロナ禍を契機とし、抜本的に福利厚生全体の配分見直しをしている企業も多いようです。
当社では、そのように福利厚生が形骸化、非効率化した状態を問題視し、福利厚生を最適化するための制度構築や再構築、導入支援等を行っています。

今回紹介した企業の支給金額や用途等を参考に、自社でテレワークするためには何の費用が必要でいくら支給すべきか、逆にテレワークにより必要がなくなった(減らしていい)費用は何かを検討するとともに、福利厚生全体の見直しについてもこの機会に是非行ってみてはいかがでしょうか。

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働き方改革サポ編集部
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