【解説】人事が知っておくべき技術用語・専門用語 〜IT編〜

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IT - 【解説】人事が知っておくべき技術用語・専門用語 〜IT編〜

「働き方改革」という言葉や取り組みの普及と共に、「IT」、「RPA」、「DX」といった専門用語・技術用語にも白羽の矢が立っています。

しかし、これ等は元々が専門用語・技術用語であるため、具体的にはどういった事物を指すのか分からないという方も多いのではないでしょうか。所謂バズワードとして何となく理解しているだけでは、これ等を実際に「働き方改革」で自社の業務に取り入れようとしても、立ち行かなくなってしまうでしょう。

そこで、本ブログでは、「働き方改革」に伴い注目を集めている専門用語・技術用語を、コラム形式で分かり易く解説していきます。対象とする専門用語・技術用語は、「IT」、「IoT」、「RPA」、「AI-OCR」、「ディープラーニング」、「DX」等を予定しています。

尚、本ブログの解説では「分かり易さ」を最重視して解説を行います。そのため、専門的・技術的には、厳密にはニュアンスが些か異なるという事も有り得るかと思いますが、その点はご了承下さい。

IT

「IT」という言葉自体は、見聞きした経験がある方が殆どだと思います。しかし、実際に「ITって何?」と聞かれて、答えられる方は少ないのではないでしょうか。

そもそも、「IT」とは「Information Technology(情報技術)」の略称です。またの名を、「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略称で、「ICT」と呼ばれる事もあります。

日本語で「情報技術」という文字が示す通り、実は「IT」は非常に包括的な概念です。科学技術の中でも、文字通り「情報」の取得、送信、受信、加工、保存などなどに用いられる技術が、情報技術です。

このような原義を書くと分かり難いかもしれませんが、現代では概ね
1. PC、スマートフォン、タブレット等の機械や器具により、情報を取り扱う技術
2. PC、スマートフォン、タブレット等の機械や器具の内部のプログラムやソフトウェアにより、情報を取り扱う技術
3. インターネット等のデジタル通信により、情報を取り扱う技術
の3種類の意味で使われます。

「IT」という専門用語・技術用語が世に普及したのは、1990年代~2000年代、PCとインターネットの普及に伴ってです。
そこから、
・ITを駆使・活用する職種や業界を指して「IT業」や「IT業界」
・ITの業務や社会インフラにおける活用を指して「IT活用」
といった言葉も産まれました。

しかし、このような「IT」という専門用語・技術用語の普及に伴い、「ITリテラシー」の問題や「デジタル・ディバイド」という社会的格差も生じてしまっています。

ITリテラシー

本記事のタイトルにも挙げている「IT」、「RPA」、「DX」といった専門用語・技術用語を見ると、英語やカタカナばかりで辟易とする方も少なくないと思います。今回の「ITリテラシー」も枚挙に暇がない例の一つで、英語とカタカナのみで構成されており、つまり一体何を指す言葉なのかと思われる方が多いでしょう。

しかし、この専門用語・技術用語は分解すると、案外分かり易くなります。ずばり、「IT」(情報技術)に関する「リテラシー」(基礎的な知識やスキル)の事を「ITリテラシー」と言います。

似たような専門用語・技術用語として、
・「情報リテラシー」
・「メディアリテラシー」
・「コンピュータリテラシー」
・「インターネットリテラシー」
等々もありますが、一言でまとめるならば、「自身の目的・目標のために、情報技術(IT)を適切に活用できる、基礎的な知識やスキル」の事です。

例えば、
・PC、スマートフォン、タブレット等の機械や器具を活用できる
・PC、スマートフォン、タブレット等の機械や器具の内部のプログラムやソフトウェア(Microsoft WordやExcelでもOK!)を活用できる
・インターネットやインターネット上のウェブサイトやウェブサービスを活用できる
等も、「ITリテラシー」に含まれます。
これ等であれば、自分もITリテラシーを持っていると言える方も多いのではないでしょうか。

しかし、「ITリテラシー」も非常に包括的な概念であり、他にも
・上記の活用に伴う、リスクの理解やそのリスクの回避方法の理解
・情報を発信する際、適切な範囲や方法の選択
・情報媒体から情報を得る際、情報をそのまま鵜呑みにせず、客観的・正確に評価する事
等々も挙げられます。

一つ一つは堅苦しい文言ですが、例えば最近だと
・ネット詐欺やブラクラ(ブラウザクラッシャー)
・TwitterやFacebookといったSNSでの所謂炎上
・ネット右翼やネット左翼
等が該当します。

これ等にもピンと来た方は、「ITリテラシー」を真に充分に持っていると言えるでしょう。しかし、ピンと来ない方もいるかと思います。このピンと来た方とピンと来ない方の(格)差が、次に解説する「デジタル・ディバイド」です。

デジタル・ディバイド

早速この専門用語・技術用語も、分かり易くなるように、分解してみましょう。「デジタル」(IT)における「ディバイド」(格差)の事を「デジタル・ディバイド」と言います。

現代社会において、「ITリテラシー」は、否応が無しに必須の物と言って過言ではないでしょう。充分な「ITリテラシー」を持っていて、ITを適切に活用できれば、豊かで便利な生活を送れたり、高い職業的地位や社会的地位を獲得できたりします。しかし、この事は裏返すと、充分な「ITリテラシー」を持っていなければ、このような恩恵を受けられず、生活や社会において困難な状況に陥ってしまう事も指します。こういった格差が「デジタル・ディバイド」で、実は現代社会において深刻な問題になっています。

例えば、
・年齢(一般的に、若者の方がITに関する知識やスキルの獲得は容易で、高齢になるに連れて困難になる)
・貧富(一般的に、貧困である程、そもそものPC、スマートフォン、タブレット等の購入が困難になる)
・障害(一般的に、心身に障害を抱えていると、ITに関する知識やスキルの獲得は困難になる)
が「デジタル・ディバイド」の原因に挙げられ、更にこれ等は個人間のみならず、地域間や国家間(先進国と発展途上国・都市部と農村部等)でも起こっています。

幸い、日本の「デジタル・ディバイド」は個人に依拠する所も大きいので、「ITリテラシー」を磨いたり学んだり共有したりして、「デジタル・ディバイド」を無くしていきましょう。余談ながら、本記事や本ブログもその一環と言えます。本記事や本ブログで「ITリテラシー」を得て、「デジタル・ディバイド」を防ぎましょう!
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IT革命

この種の専門用語・技術用語の中では、非常に意味が汲み取り易い用語かと思います。ずばり、「IT」(情報技術)による「革命」です。

日本においては、既に「IT革命」は起こった、或いは起こっているという状況です。例えば、皆さんは、PC、スマートフォン、タブレットに代表される情報端末の無い生活を、今想像できるでしょうか?例えば、皆さんは、インターネットやインターネット上のウェブサイトやウェブサービスの無い生活を、今想像できるでしょうか?このように、今や日本においては、ITは私達の生活に深く関わって密着しています。また、これ等の情報端末やサービスは、日進月歩で進化を遂げています。

言い換えると、日本では「IT革命」は既に起こっており、現在も引き続き私達の生活を革命中という訳です。

ITインフラ

さて、ITが私達の生活に深く関わって密着している以上は、インフラ(土台・基盤)として整備する必要が出て来ます。他のインフラ、例えば水道や道路と同じように、社会の土台・基盤としてITを成り立たせるインフラをITインフラと言います。

具体的には、ITを利用するために必要な
・PC、スマートフォン、タブレット等の情報・通信機器
・それ等の機器の中で動作するOS、ソフトウェア、データ
・それ等の機器を結ぶ通信回線やネットワーク
が狭義のITインフラと考えられ、
・これ等を設置する場所や施設(サーバー室やデータセンター等)の用意
・これ等を運用する際のルールの制定
・これ等を管理や運用する人員(情報システム部門等)の配置
・これ等のリスク対策の制定
等が広義のITインフラと考えられます。

尚、近年では、クラウド型のITインフラの構築も盛んになって来ています。従来のITインフラ構築は、自社内にITインフラを構築する、オンプレミス型という方式でした。一方、近年隆盛している遠隔からITインフラを構築する方式を、クラウド型と呼びます。

ITベンダー

ITインフラの構築には、そのための人員が必要です。また、ITを更に効率的に活用するための機器、ソフトウェア、サービス等も提供されるべきでしょう。

このような人員の派遣や機器、ソフトウェア、サービス等の販売を担う企業を、「ITベンダー」と言います。具体例としては、富士通、NTTデータ、NEC、日立、日本IBM等、見聞きした事があるでしょう。

ちなみに、「ITベンダー」の中でも、企業における情報システムの開発や構築を専門とする場合には「SIer」(System Integrator)と呼称される事も多いです。

ITソリューション

例の如く、分かり易くなるように、この専門用語・技術用語も分解します。「IT」による「ソリューション」(解決策・解決案)の事を「ITソリューション」と言います。

具体的には、ITの導入や活用によって、
・顧客や企業が抱えている課題や問題を解決する事
・顧客や企業が要求している要望や条件を満たす事
が「ITソリューション」と呼ばれます。

但し、これ等は、単一の既成品、ソフトウェア、サービス等では解決できない事も当然有り得ます。そこで、「ITソリューション」のために、オーダーメイドの開発や改修をしたり、複数の製品やサービスをまとめて一体型のシステムにしたりといった事も行います。

尚、上記で紹介した「ITベンダー」は、この「ITソリューション」も併せて提供・販売している事が多いです。「ITソリューション」の提供・販売の場面では、「ITベンダー」の事を「ソリューションプロバイダー」や「ソリューションベンダー」と呼ぶ事もあります。

IoT

「IoT」や「IoTデバイス」という言葉を、CMや広告等で見掛けるようになりました。但し、実際に「IoTって何?」と聞かれて、答えられる方は少ないのではないでしょうか。

「IoT」は「Internet of Things」の略称で、日本語では「物のインターネット」と和訳されています。しかし、「物のインターネット」という和訳を見ても、ピンと来る方はまずいないと思います。

もう少し分かり易く言い換えると、「物と物がインターネットで繋がっている状態」の事を指します。とは言え、まだまだ分かり難いと思うので、そもそも「IoT」という考え方や言葉が産まれた背景から見ていきましょう。

ITに関する記事で、「PC、スマートフォン、タブレット等の情報・通信機器」と書きました。従来は、これ等の情報・通信機器「のみ」がインターネットで繋がる物であり、IT機器と呼ばれていました。しかし、技術の進歩に伴い、例えばカメラやTVといった家電もデジタル化が進み、インターネットを介して繋がれるようになりました。このように、従来のIT機器以外の物もインターネットで繋がれるようになった事が、「IoT」という訳です。

個人レベルでもビジネスレベルでも、「IoT」は今大きく注目を集めています。では、「IoT」により、どのような恩恵を私達は受けられるのでしょうか?本当に多種多様な恩恵が考えられますが、本記事では敢えて3種類の恩恵に大別したいと思います。

1. IoTにより物の状態を知る
2. IoTにより物を操作する
3. IoTにより物同士を対話させる

1つずつ、具体的に見ていきましょう。

1の「物の状態を知る」は、モニタリングや検知といった行動・業務を、IoTが遠隔で可能とします。
例えば、
・部屋、事務所、工場、農園の環境(温度、湿度、気圧、照度、騒音等)の把握
・工場の生産ラインの状況把握と異常検知
・自宅、事務所、設備のドアや窓の開閉の確認
・自宅で留守番中のペットの行動の把握
・自宅の観葉植物の状態(水分量や照度)の把握
などなどが、出先・外出先から可能になるのです。

2の「物を操作する」は、電源やスイッチのON/OFFや制御といった行動・業務を、IoTが遠隔で可能とします。
例えば、
・自宅の照明、エアコン、給湯器や風呂釜等の電源やスイッチのON/OFFや制御が、出先・外出先から可能になるのです。そして、これは自宅に限らず、オフィスビル、工場、病院、学校等の規模の施設にも応用できます。また、電源やスイッチのON/OFFや制御したい機器が、屋外にあっても対応可能です。

3の「物同士を対話させる」は、今話題のスマートスピーカーが分かり易い例でしょう。
AmazonのAmazon Echo(Alexa)、GoogleのGoogle Home、AppleのHomePodなどなど、今や世界中の大企業がスマートスピーカーを開発・発売しています。このスマートスピーカーは、スマートスピーカーに命令するだけで、上記の1や2を行って答えを返してくれるという画期的な発明品です。厳密には、スマートスピーカーと上記1や2の対象を対話させて、スマートスピーカーが命令を実行&回答を返してくれるという仕組みです。

これまでのITやIT機器から大きな一歩を踏み出して、「IoT」の時代が到来しています。本記事を皮切りに、私達が「IoT」を理解して活用できれば、私達の生活や仕事は更に便利に効率良くなっていくでしょう。

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石井 卓巳
コンサルタント株式会社ネクストプレナーズ
株式会社ネクストプレナーズの経営企画室とDX事業部に所属しています。 前職でAI、NLP、英語、教育学、統計学、心理学などの大学教員や研究者として勤務していた経験を活かして、現職ではDXやRPAのコンサルタント、エンジニア、講師として勤務しています。 RPAの有資格は、WinActor認定技術者(エキスパート級)やUiPath RPA Developer Advancedなど。

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