感染症対策の一環として、日本企業においてもテレワークが普及し、今では週の半分がテレワークだったり、基本テレワークだったりする会社が増えています。
テレワークという働き方は、感染症の蔓延により急速に導入が進んだとはいえ、感染症拡大以前から導入が推進されており、感染症が収束したからと言って衰退するものではありません。
寧ろ、これからはテレワークという選択肢が標準化すると考えられます。
そこで、「テレワークの導入」の次のステップとして視野に入れる必要があるのが、企業・従業員共にメリットを感じられるような運用方法でテレワークを行うという点です。
その方法のひとつとして、テレワークという働き方に適した法定外福利厚生制度を導入するという方法が挙げられます。
今回はテレワークに適した福利厚生制度について、導入の必要性やメリット、具体例な制度の例について紹介します。
目次
テレワークに適した福利厚生制度導入の必要性
法定外福利厚生は導入するか否か、導入する種類、導入方法等を企業が自社に合ったものを自由に決められるものです。
しかし、導入当初から期間が空いていたり、企業の状況等に大きな変化があったりした場合、その福利厚生は既に自社に合うものではなくなってしまっている可能性があるため、定期的に見直す必要があります。
特に今回としているテレワークの標準化においては、今まで多くの企業で導入されてきた福利厚生制度でも、現状に適さずメリットが生じなくなってしまっている可能性があるため、とりわけテレワークを基本とする方針の企業においては新たな福利厚生の導入に加え、既存の福利厚生の見直しも必要です。
テレワークに適した福利厚生制度導入のメリット
テレワークに適した福利厚生を用意することで、従業員の満足度の向上が見込め、離職防止や優秀な従業員の確保・定着に繋がります。
また、モチベーションアップによる生産性向上の効果も見込めます。
加えて、テレワークがメインの従業員と出社がメインの社員がいる場合には、テレワークの従業員も受けられる福利厚生を用意することで、双方の従業員が受けられる福利厚生に差が出ることを防ぐこともできます。
なお、新たに福利厚生制度を新設するには予算がないという場合には、既存の福利厚生制度を見直すことをお勧めします。
あまり利用されていない福利厚生制度や、テレワークという働き方の比率が高くなったことで従業員にとって利用が難しくなった福利厚生制度などがあるかもしれません。
メリットが見込めない福利厚生があれば、それらを廃止し、その費用をテレワークに適した福利厚生制度に回すことを検討しましょう。
テレワークに適した福利厚生サービスの例
次に、具体的にどのような福利厚生サービスがテレワークに適しているのか、いくつか紹介します。
テレワーク手当(在宅勤務手当)
一つ目が、水道光熱費、通信費、環境整備費用などのテレワーク手当です。
テレワーク手当は既に導入している企業や現在検討中の企業が多い福利厚生です。
従業員にとってメリットが大きく、また使い道が指定されている場合もありますが、基本的には利用しやすく喜ばれやすい制度と言えます。
テレワーク手当の金額や用途等は企業によって様々であるため、自社や従業員の状況、テレワークの運用状況等を検討し定める必要があります。
既に導入している企業が公開しているテレワーク手当の支給状況については下記の記事でまとめて紹介しています。
ランチ代や社員食堂の宅配サービス
二つ目が、ランチ代の補助やランチメニューの宅配サービスです。
社員食堂やランチ会などを開催していた企業では、出社をしなくなることで社員食堂が使えなくなったり、ランチ会が開催されなくなったりするため、その代わりとしてランチ代の支給や社員食堂のメニューを従業員の自宅に届けるサービスを利用することで、従業員の食事をサポートできます。
食費のサポートができることに加え、テレワークにより毎日昼食のメニューを考えて作らなければならないという負担から解消されることで業務のパフォーマンス向上に繋がる可能性もあります。
コミュニケーション不足を補うためのオンラインイベント
三つ目が、オンラインイベントの提供や、その費用の負担です。
テレワークでは、基本的には個別に業務を進め、質問等もチャット等のツールで済ませることが一般的であるため、ちょっとした会話などが生じづらく、従業員同士のコミュニケーションが不足しがちです。
また、現在は感染症対策のため、業務時間外においても従来に比べコミュニケーションをとる機会は減少していると言えるでしょう。
そこで、オンラインのランチ会や飲み会を開催したり、外部イベントサービスを提供したり、それらの費用を補助したりすることで、テレワーク中の従業員のコミュニケーション不足を補うことができます。
自宅でできるフィットネスプログラム
四つ目が、自宅でできるフィットネスプログラム等のサービスや、その費用の負担です。
テレワークでは、通勤時間がなくなる一方で、その分の移動距離も減少するため、意識的に運動を行わないと運動不足になりがちです。
そこで、自宅でできるフィットネスやヨガ等のプログラムを提供しているサービスを利用できるようにすることで、従業員の健康管理の一環となります。
従業員の運動不足解消は、気分のリフレッシュになるほか、満足度やモチベーションの向上にも繋がり、テレワーク中の業務の生産性の向上も期待できます。
まとめ
以上、今回はテレワークに適した福利厚生制度について、導入の必要性やメリット、具体例な制度の例を紹介してきました。
福利厚生が充実しているか否かは、求職者が企業を選ぶ際の重要なポイントです。
テレワークを導入している企業が増え、今後も継続する企業が多く残ると考えられる現状、テレワークが導入されているか否かの次のステップとして、多くの人材はテレワークを充分に活用できるか、快適にテレワークができるかを比較することになるでしょう。
自社にはテレワークに適した福利厚生制度があるか、また既存の福利厚生制度は自社の現状と合ったものになっているか、この機会に検討することをお勧めします。
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