人事評価のフィードバック面談の進め方|自己評価を先に聞く順序と、低評価の伝え方・面談記録の残し方

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評価面談で低い評価を伝えるとき、何から話せばよいか迷う管理職は少なくありません。厚生労働省の職業能力評価シートは、本人の自己評価を先に置き、上司評価の根拠を具体的な行動例で示す流れになっています。本記事では、初めて面談をする管理職と人事担当者に向けて、自己評価を先に聞く順序、低い評価を事実と基準で伝える手順、面談記録の残し方を6ステップで整理します。

フィードバック面談とは

フィードバック面談とは、評価の結果とその根拠を本人に伝え、認識のずれを確かめ、次の期の行動を一緒に決める面談のことです。

評価を通知して終わりにはしません。本人が「何ができていて、何が足りなかったか」を理解する場です。

厚生労働省の職員向けの人事評価実施規程には、期末面談の定めがあります。第9条は、評価者が期末面談で評価結果を開示し、評価結果とその根拠となる事実に基づいて指導・助言を行うとしています。同省の職員向けの規程で、民間企業に適用されるものではない点に注意してください。ただ、結果そのものではなく「根拠となる事実」を軸に話す考え方は、民間企業の面談にも使えます。

期中のフィードバックと、期末の評価面談は役割が違います。違いを表にまとめます。

比較項目 期中のフィードバック 期末の評価面談
時期 業務の合間。週次や月次など 評価期間の終了後。評価が固まってから
目的 行動の修正と業務の改善 評価結果と根拠を共有し、次期の行動につなげる
話す内容 直近の仕事の具体的な場面 期間全体の評価と、根拠となる事実
記録 簡単なメモ 面談記録として残す

期中の運用は、リアルタイムフィードバックの記事で解説しています。本記事は、期末の面談を扱います。

面談の目的は3つに絞る

話したいことを詰め込むと、肝心の評価の根拠が伝わりません。目的は次の3つに絞ります。

  1. 評価結果と、その根拠となる事実を伝える
  2. 本人の認識を聞き、ずれがあれば確かめる
  3. 次の期に取り組むことを、本人と合意する

評価点を交渉する場にはしません。評価を見直すのは、本人が新しい事実を示したときに限る運用をおすすめします。

フィードバック面談の進め方(6ステップ)

準備から面談後までを、6つのステップに分けて示します。

ステップ1:根拠を事実で整理し、自己評価を事前に集める

準備で最も時間をかけるのは、評価の根拠の整理です。「いつ、何があったか」を、評価項目ごとにメモにしておくのが基本です。根拠を揃える考え方は、評価調整会議の進め方の記事も参考になります。

厚生労働省の職業能力評価シートでは、本人が先に自己評価を記入し、続いて上司が評価します。上司評価の欄には、自己評価と評価が異なる項目の書き方の案内があります。具体的な行動例を示しながら「なぜこの評価であると判断したのか」を明示する、という内容です。面談の前に同じ形で整理しておくと、話す内容がぶれません。

自己評価は、面談の数日前までに本人から受け取っておくとよいでしょう。

ステップ2:面談の最初に、目的と進め方を伝える

面談の最初の1〜2分で、目的と流れを伝えます。次のような切り出しが一例です。

  • 「今日は、今期の評価とその理由をお伝えします。まず、あなたの自己評価を聞かせてください。そのあとで私の評価をお伝えし、来期に向けて一緒に確認します。」

時間は、30〜60分を目安に確保するとよいでしょう。法令で決まった時間ではありません。評価項目の数や人数に応じて調整してください。個室など、他の人に聞こえない場所を使い、途中で席を外さないようにしましょう。

ステップ3:自己評価を先に聞く

上司の評価を伝える前に、本人の自己評価を聞きます。先に評価を伝えると、本人が自分の意見を言いにくくなることがあります。認識のずれにも気づけないままです。

聞く内容は、次の3つが使いやすいでしょう。

  • 今期、最も力を入れた仕事は何でしたか。
  • 自己評価が高い項目と低い項目は、どれですか。その理由も教えてください。
  • 上司や会社に、支援してほしかったことはありますか。

この段階では反論しません。メモを取りながら最後まで聞き、「〜ということですね」と言い換えて確認します。

ステップ4:評価結果と根拠を、結論から伝える

次に、上司の評価を伝えます。順序は、結論、根拠、基準、期待の4点です。

  1. 結論:総合評価と、項目ごとの評価
  2. 根拠:いつ、何があったかという事実
  3. 基準:評価基準のどの水準と比べたか
  4. 期待:次の期に、どの水準を求めるか

高い評価の項目から伝えると、本人も落ち着いて聞けます。ただし、良い点を並べて低い評価を薄めると、肝心の点が伝わりません。低い評価の項目も、同じ順序で省かず伝えてください。

ステップ5:認識のずれを確かめ、次の期の行動を合意する

自己評価と上司評価が違う項目は、どこで見方が分かれたのかを確認します。本人が新しい事実を挙げたら、その場で結論は変えず、持ち帰って確かめるのが基本です。確認の結果、修正が必要なら評価を直します。職業能力評価シートも、フィードバック面談で認識を共有し、上司評価に修正の必要があれば評価を修正する流れです。

持ち帰った件への回答は、面談後1週間以内など、期限を決めておくことをおすすめします。

最後は、来期の行動の合意です。行動は1〜3つに絞り、会社や上司が行う支援を1つ添えます。言い方は「何を、いつまでに、どの状態にするか」の形が基本です。

ステップ6:面談の内容を、その日のうちに記録する

面談が終わったら、記憶が新しいうちに記録を作ります。書く項目と書き方は、後述の「面談記録の残し方」で説明します。

低い評価の伝え方

低い評価を伝える場面は、多くの管理職にとって最も負担が大きいところです。ポイントは、人ではなく、事実と基準について話すことです。次の3つを順に伝えます。

  1. 事実:いつ、何が起きたか
  2. 基準:評価基準で、どの水準を求めているか
  3. 差:事実と基準の間に、どんな差があるか

例えば、「第2四半期の見積書3件で、提出期限を過ぎました(事実)。この等級では、期限内の提出を求めています(基準)。そのため、納期管理の項目は『期待を下回る』と評価しました(差)」と伝えます。数字や項目名は説明用の例です。

避けたい言い方と、言い換えの例を表にまとめます。

避けたい言い方 問題点 言い換えの例
やる気が感じられない 内面の推測で、事実を示せない 今期の会議での提案は2回でした。基準は月1回以上です
みんなそう言っている 根拠が不明で、本人が反論も改善もできない 私が確認した事実は、次の3件です
あなたには向いていない 人格や適性の否定になる この業務では、○○の水準を求めています。今期は△△の状態でした
来期は昇給なし 面談の場で処遇を断定すると、規程や手続きと食い違うおそれがある 処遇は規程と手続きに沿って決まるため、決定後にお伝えします

労働施策総合推進法の第31条第1項は、事業主に、相談体制の整備などの措置を求めています。防止の対象は、優越的な関係を背景とした言動のうち、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものです。人格を否定する言い方や、長時間の叱責は、この「範囲を超えた」言動と判断される場合があります。個別の事案で判断に迷うときは、社会保険労務士や弁護士に確認してください。

低い評価を降給や降格につなげられるかは、別の論点です。人事評価を理由に降給・降格はできるかで整理しています。昇給や賞与とのつながりは人事評価を昇給・賞与に反映する方法で、面談の練習は評価者研修の進め方で扱っています。

面談記録の残し方

面談記録は、本人と会社の双方が、後から内容を確かめるための資料です。次の項目を、A4で1枚程度にまとめることをおすすめします。

  • 面談の日時、場所、参加者
  • 本人の自己評価と、その理由(本人の言葉を要約)
  • 上司の評価と、根拠として示した事実
  • 本人から出た意見と新しい事実、持ち帰った事項
  • 合意した次期の行動と、会社の支援内容
  • 次回までの確認事項と期限

書き方の3原則

  1. 事実と印象を分けて書く。「期限を3回過ぎた」は事実、「責任感が弱い」は印象です。印象は、根拠となる事実を添えられるときだけ書きます。
  2. 本人の発言は、要約して書く。原文のまま書き写すと長くなり、感情的な表現も残ります。
  3. 人格への評価や、他の社員への批判は書かない。記録は、本人の目に触れる可能性がある前提で書きましょう。

保管と本人への開示

個人情報保護法の第16条第1項は、特定の個人情報を検索できるよう体系的に構成したものを「個人情報データベース等」としています。面談記録をこのような形で管理していれば、個人データ(同条第3項)や保有個人データ(同条第4項)に当たる可能性があります。

保有個人データについて、本人は開示を請求できます(第33条第1項)。事業者は、遅滞なく開示する必要があります。一定の場合は、全部または一部を開示しないことができます(同条第2項)。また、内容が事実でないときは、本人は訂正等を請求できます(第34条第1項)。事実と印象を分けて書くのは、この点でも役に立ちます。

開示への対応は、記録の管理方法によって変わります。判断に迷うときは、社会保険労務士や弁護士に確認してください。

運用としては、記録を閲覧できる人を限った場所に保管し、保管期間を社内規程で決めておくことをおすすめします。記録の要点は、翌営業日までに本人にも共有するとよいでしょう。認識のずれを早めに直せるからです。

ネクストプレナーズの見解

面談の質は、話し方よりも、面談の前に根拠を整理できているかで決まると考えます。自己評価を先に聞く、根拠を事実で伝える、記録では事実と印象を分ける。この3点を評価者全員で揃えることをおすすめします。伝え方を工夫すれば根拠の弱さを補えると考える管理職もいますが、根拠の弱い評価は、本人の納得につながりにくいと考えます。評価者研修では、根拠メモの作成と面談の練習をセットで行うことをおすすめします。

面談の前に確認する6項目

  • 評価の根拠を、項目ごとに事実のメモにしたか
  • 本人の自己評価を、事前に受け取ったか
  • 評価基準のどの水準と比べたかを、説明できるか
  • 低い評価の項目に、避けたい言い方が混じっていないか
  • 次期の行動案を、1〜3つ用意したか
  • 記録の書式と保管場所を決めたか

評価面談の型づくりや評価者の練習は、ネクストプレナーズにご相談ください。制度の構築・見直しの支援内容は、人事評価コンサルティングのページで案内しています。

監修

仙頭 武宏(株式会社ネクストプレナーズ 代表取締役社長)

東京工業大学(現・東京科学大学)工学部制御システム工学科卒業。日本オラクル株式会社でエンジニア、コンサルタントを経て経営企画室マネージャを務める。一橋大学大学院商学研究科(現・一橋ビジネススクール)経営学修士(MBA)修了。独立コンサルタントを経て、2012年より株式会社ネクストプレナーズ代表取締役社長。

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本記事は公的機関の公表資料等を基にした一般的な情報です。個別の制度設計・手続きは専門家にご確認ください。

よくある質問

Q. 評価面談では、自己評価と上司の評価のどちらを先に話しますか?

自己評価を先に聞くことをおすすめします。本人が意見を言いやすく、認識のずれを面談の早い段階で確かめられるためです。法令で順序が決まっているわけではありません。厚生労働省の職業能力評価シートも、本人の自己評価の記入を先に置いています。

Q. 本人が評価に納得せず、反論してきたらどうすればよいですか?

まず最後まで聞き、新しい事実が出たかどうかを確かめます。新しい事実が出たときは、その場で結論を変えず、持ち帰って確認し、期限を決めて回答します。見方の違いだけであれば、評価の根拠と基準をもう一度示します。その場で評価を変える約束はしません。

Q. 評価面談の時間は、どれくらい確保すればよいですか?

30〜60分を目安にすることをおすすめします。これは運用上の目安で、法令で決まった時間ではありません。評価項目の数や、自己評価と上司評価の差の大きさに応じて調整してください。

Q. 面談記録は、本人に見せる必要がありますか?

記録の管理方法によっては、個人情報保護法に基づく開示請求の対象になる可能性があります(第33条第1項)。取り扱いは保管の形で変わるため、社会保険労務士や弁護士に確認してください。実務では、記録の要点を本人と共有しておくと、認識のずれを防げます。

Q. 初めて面談を担当する管理職は、何から練習すればよいですか?

低い評価の項目を、事実、基準、差の順に話す練習です。実際の評価項目を1つ選び、声に出して言ってみます。人事担当者や同僚に聞き手になってもらうと、言い回しの癖に気づけます。

Q. 自己評価と上司評価が大きく違うときは、どう進めますか?

差が出た項目に絞って、具体的な行動例を挙げながら、どこで見方が分かれたかを確かめます。職業能力評価シートも、自己評価と上司評価が異なる項目では、具体的な行動例を示しながら「なぜこの評価であると判断したのか」を明示するよう案内しています。

出典・参考資料

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人事ブログ編集部
株式会社ネクストプレナーズの編集部です。賃金・報酬、人事評価、福利厚生、社宅、退職金・企業年金、労働組合など、人と制度に関する実務情報をお届けしています。

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