【解説】ワークライフバランスとは?実現に向けた様々な取り組み方法を紹介

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政府が、「働き方改革」推進のための関連法令を施行し、さまざまなメディアやウェブサイトを通して情報発信を強化するようになってから約3年が経過しようとしています。
2020年はコロナウイルスの拡大によって、否が応でも働き方の改革が求められ、多くの方が、仕事と生活・家族とのかかわり合いについて考えさせられた一年だったのではないでしょうか。

今回は、働き方改革の中心となる考え方ともいえる「ワークライフバランス」について、その概要や取り組み事例を詳しく紹介します。
従業員が気持ちよく働ける職場にするために、今一度ワークライフバランスの内容と改善のための施策について考えてみましょう。

なお、働き方改革については以下の記事で解説していますのでこちらも併せてご確認ください。
【解説】働き方改革とは?概要と変遷、メリットから取り組み事例まで紹介

「ワークライフバランス」にはいろいろな表現方法がある

「ワークライフバランス」は「仕事と生活の調和」と訳される場合が多いですが、実は単に長時間労働を排除し、自分のプライベートな時間を充分に確保するという意味合いのみで語られるものではありません。

ワークライフバランスでは、人生のさまざまなライフステージに応じて、仕事と家庭生活、地域コミュニティとの関わり合い、自己啓発など自己の成長に関わる活動等について、「自らの意思で選択できる」ことが大切であるとされます。

具体的には、以下のような環境が整備されていれば、ワークライフバランスが実現されている状態にある、といわれています。

・性別や年齢などにかかわらず、柔軟な働き方ができる就労機会を確保し、経済的に自立することができるような労働環境がある。
・仕事と仕事以外の余暇や家族のための時間、地域社会のための時間を自ら選択することで、精神的・肉体的に健康で豊かな生活を実現できる。
・子育てや親の介護など、個人が人生のなかでおかれるさまざまな状況に応じてライフスタイルを選択することができ、それによって職場で不当な処遇がなされることもなく柔軟な働き方が用意されている。

参考:内閣府・仕事と生活の調和が実現した社会の姿

ワークライフバランスが重視されるようになった背景

ワークライフバランスの概念は、アメリカでは1980年代に既にその萌芽がみられますが、日本では、2000年代に入り労働に対する考え方が少しずつ変化したことによって企業にも考え方が受け入れられるようになりました。
背景には以下のような、社会構造や価値観の変化があったためです。

少子高齢化等による生産年齢人口の減少

日本経済は今停滞していると言わざるを得ません。
これには少子高齢化やいわゆる団塊の世代が定年を迎えたことによる生産年齢人口の減少が大きく影響しています。
今後、経済に活力を再注入するためには、限りある人材である従業員のパフォーマンスを最高まで高めることが重要になってきます。
そのためには、性別や年齢を問わず、従業員が能力を存分に発揮して仕事ができる環境を創造していくことが不可欠です。

働く側の価値観の多様化

また、働く側の価値観も大きく変化しました。
仕事のみならず、プライベートの時間を充実させたり、家族との時間を大切に過ごしたり、あるいは休暇を取ったりすることも大事な時間の過ごし方であると認識されるようになりました。

高度経済成長時代以降、仕事イコール人生であり長時間労働に耐えることが当たり前という風潮があった時代もあり、女性の就労機会が妨げられたり、処遇が不公平であったりすることもありました。
しかし、現在では、そのような職場環境を良しとする経営者や従業員は見当たりません。

誰もが自分に合った働き方を追求し始め、働き方の多様化が進んでいます。

メンタルヘルスの悪化を原因とする社会問題の増加

更に、近年では、長時間労働による精神的な疾患やストレスの増加、それに伴う過労死などの社会問題が増えています。
参考:厚生労働省・平成30年度「過労死等の労災補償状況」
令和元年度「過労死等の労災補償状況

マスコミやメディアはこのような問題が起こった企業を「ブラック企業」として批判の対象とし、このような企業の信頼は大きく損なわれました。

ワークライフバランスの問題は、企業イメージや信頼性、商品のブランドなどにも大きな影響を与えることになったのです。

ワークライフバランスを重視するメリット

以上のような背景からワークライフバランスが重視されるようになりましたが、ワークライフバランスの向上を図るべく施策を講じた結果、企業業績が上がったという事例が多く見られます。
それは、施策によって以下のような具体的な効果が期待できるからであると考えられます。

従業員の定着率の上昇と優秀な人材の獲得

ワークライフバランスを向上させる施策を導入し、経営陣から従業員に対してその目的について説明することは、従業員を大事にしているというメッセージを送ることに他なりません。
また、従業員も働きやすさを実感することとなり、社内の人間関係の改善を齎し、結果として従業員の定着率の上昇に繋がります。

加えて、人材の採用についても大きなアピールポイントとなり、優秀な人材を獲得することにもつながります。

過剰な残業代等の削減と労働生産性の向上

長時間労働を抑制し、併せてフレックスタイムを導入するなど柔軟な労働環境を整備することで、過剰な残業代などの人件費を削減することができます。
また、だらだらと長い時間仕事をするのではなく、決められた時間で目標までの仕事を終わらせるという意識が高まることで労働生産性が向上し、効率の良い経営が可能となります。

会社イメージ・ブランドイメージの向上

現在では、消費者をはじめとするステークホルダーが企業を選ぶ際、環境問題に対する取り組みや、CSR、SDGsなどの取り組みのほか、ワークライフバランスへの取り組みについても大きく注目する傾向にあります。
ワークライフバランスの欠如による中間管理職の過重労働や、過労死、自殺などの問題がメディアで大きく取り上げられたことによって、信頼を損ねた企業があることは周知の通りです。

ワークライフバランスへの取り組みが、そのまま会社のイメージや商品のブランドイメージに直結することになった今では、ワークライフバランス向上のための施策を講じることはイメージ向上のためには必須といえます。

ワークライフバランスの取り組み事例

それでは、ワークライフバランスを向上させるための取り組みとして、経営者はまず何から始めれば良いのでしょうか。

就業規則や休暇規程などの改訂などはよく挙げられる事項ですが、それに加えて経営陣や管理職、そして一般の従業員の意識改革についても同時に行わなければワークライフバランスを向上させる施策が実効的に機能することはありません。

以下のような具体的な施策に加え、従業員が自由に意見を言えるような社風をつくっていくことも重要になってきます。

長時間労働に関する対策

まずは、長時間労働に対する様々な対策を用意することが基本的な項目であると言えるでしょう。

具体的な対策としては、例えば、週単位・月単位での残業時間の管理、残業の事前申請制の導入、ノー残業デーの実施、深夜残業の全面的禁止などです。
これらを実現するために、社内規程を整備することはもちろんのこと、労働時間を把握するためのシステムの導入、残業時間が多い部署の管理者とのミーティング、仕事の管轄の変更や権限の委譲など、仕事のやり方や管理の仕方の改革も必要になってきます。

休暇制度の充実

有給休暇、育児休暇、介護休暇、リフレッシュ休暇など、会社で様々な休暇を用意しても従業員が活用しなければワークライフバランスの向上は図れません。

有給休暇は原則として年内に使い切るルールにする、育児休暇や介護休暇については必要な書式やル―ルを明確にして周知し、従業員が気負いすることなく休暇を取れるような環境を整えるなど、休みやすい雰囲気づくりを行うことも重要です。

様々なライフステージに求められる多様な働き方の実現

育児や介護を行なっている時にも、時間を短縮したり、時間をずらしたりすることによって会社に貢献することができる従業員がいるのであれば、そのような労働環境を整えることで従業員のモチベーションアップ、仕事のやりがいの向上にもつながります。

育児休暇や介護休暇と合わせて時短勤務を導入する、出勤時間についてフレックスタイム制を導入する、午前休・午後休、時間単位での休暇取得を認めるなどの制度を導入することで、様々なライフステージにおける多様な働き方を実現することができます。

従業員の意識改革と意見の吸い上げ

ワークライフバランスの向上に関する施策を実際に行うのは従業員です。
そのため、ワークライフバランスの向上には従業員の意識改革が不可欠です。

また会社によっては、労働環境に関する「目安箱」のようなものを設置することにより従業員が意見を言いやすいような環境を整えることで、従業員にワークライフバランスについて積極的に改善するよう意識を向けさせるという施策を取っている会社もあるようです。

仕事の質と生活の質の向上で相乗効果がある

ワークライフバランスは「仕事を取るか」「プライベートを取るか」という2択を迫るものではなく、仕事の質を向上させるとともに、プライベートの日常生活の質も向上させることができるという相乗効果が期待できるものです。

従業員が豊かな生活を送るための労働環境を整えることは経営者の責任であるといえます。
より良い労働環境を目指すために、自社のワークライフバランスについてもう一度考えてみてはいかがでしょうか。

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働き方改革サポ編集部
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