本ブログではSDGsとESG投資の関係性を解説するとともに、何故企業は「今だからこそ」SDGsに取り組むべきなのか、そして何から取り組んでいくべきなのかについてお伝えします。
1.SDGsとは
2.ESG投資とは
3.SDGsとESG投資の関係性
4.With/Afterコロナの時代にこそSDGsに取り組むべき理由
5.企業はSDGs達成に向けて何から取り組めばいいのか(SDG Compass)
6.コラム:脱炭素宣言とSDGs、ESG投資
本記事は後編となりますが、前編ではSDGsとESG投資の関係、中編では企業がSDGsに取り組むべき理由、裏を返せば取り組まないリスク・デメリットとは何なのかについてお伝えしました。
今回は上記5にあたる、企業はSDGs導入にあたり何から取り組めばいいのか、そしてそこで参考となる「SDG Compass」についてお伝えします。
また、昨今話題となっている菅総理の脱炭素宣言とSDGs、ESG投資の関係性についても、コラムとして最後に取り上げますのでぜひ最後までご覧ください。
目次
企業はSDGsに取り組み、それを発信していく必要がある
前章でお伝えした通り、大企業、中小企業問わず、企業がSDGsに取り組まないことには相当のリスクがあり、最早これからの時代、企業のSDGsへの取り組みは必須とも言えます。
では、企業ではそのリスクを避けメリットを享受するために、企業はどのような行動をしていけばよいのでしょうか。
その答えは勿論、SDGsに積極的に取り組み、それを社内外に発信していくということです。
SDGsをしっかり理解し、経営に取り込んでいくことで、企業はリスクを避けメリットを享受することができます。
但し、この時点で多くの企業から、「企業としてSDGsに取り組む、SDGsを経営に取り込むと言っても、具体的に何から始めてどう進めればいいのか?」という疑問が上がることでしょう。
そこで、次章ではその進め方の指標となる「SDG Compass」についてお伝えします。
企業はSDGs達成に向けて何から取り組めばいいのか(SDG Compass)
先述の通り、企業がSDGsに取り組むにあたり、何をすればよいのか、何から取り組めばいいのかという疑問がまず生じるでしょう。
そこで参考になるのが「SDG Compass」です。
「SDG Compass」とは
「SDG Compass」とは、2016年3月にGRI(Global Reporting Initiative)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)の3団体が、企業の SDGs経営のために作成した導入手引書です。
SDG Compass 作成の目的は、企業がいかにしてSDGsを経営戦略と統合し、SDGs達成への貢献を測定し管理していくかについて指針を提供することにあります。
出典:https://sdgcompass.org
参考資料:グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン & 公財)地球環境戦略研究機関「SDG Compass -日本語版-」
引用:ネクストプレナーズ・SDGsコンサルティングサービス
SDG Compassの5つのステップ
SDG Compass は以下の5つのステップに分かれており、それぞれのステップ毎にどのような作業が必要になるかが記されています。
ステップ1. SDGsを理解する
ステップ2. 優先課題を決定する
ステップ3. 目標を設定する
ステップ4. 経営へ統合する
ステップ5. 報告とコミュニケーションを行う
まずステップ1としてSDGsの概要や必要性、企業とSDGsの関係などについての理解を深めます。
そうして経営陣・従業員が十分にSDGs について理解した上で、ステップ2に進み、自社が優先して取り組んでいくSDGsの課題を、SDGsの17のゴールの中から決定します。
優先して取り組む課題を決定したら、ステップ3として、その優先課題に対して自社では具体的にいつまでにどこまでのことをどのような行動で貢献していくのか等の目標を設定していきます。
ステップ4では、SDGsの目標達成のため、事業戦略等にSDGsを取り入れたり、部署や従業員の評価にSDGsに関連する項目を取り入れたり、取引先など社外に対してもSDGs達成に向けて協力を求めたりすることで経営とSDGsを統合します。
そして最後のステップ5では、自社のSDGsへの取り組みに関して社内外に報告をすることでコミュニケーションをとります。
このように手順を踏んで導入を進めることで、効率的且つ効果的にSDGsを社内に浸透させることができます。
ここでは各ステップにて行うことをざっくりと掻い摘んでお伝えしましたが、SDG compass各ステップの要点解説と自社で導入する際に留意しておくべきポイントについては以下の記事で詳しく解説していますので、詳細はこちらでご確認ください。
SDG compassのステップを参考にスケジュールを組む
前項にてSDG compassのステップを紹介しましたが、実はSDG compassには、このステップをどのようなスケジュールで回していくかを考えるという、ステップ0にあたる工程があります。
SDGsの導入は、「なんとなく」でステップ1に着手しても上手くいきません。
経営計画と同じで、まずは中長期的なゴール(いつまでにどこまで進めるか)を設定し、それに照らしてステップ1~5のマイルストーンを置いて、それを基に導入プロジェクトを進めていく必要があります。
つまり、本章のテーマである「何から取り組めばいいのか」の答えは、「SDG compassのスケジュールをひくこと」となります。
但し、SDG compassは、ステップと作業ポイントがわかっても、自社でスケジュールを組んで実際にステップを回していくのは難しいという声もよく聞きます。
SDGsは15年(2021年から数えてもあと9年)という期間をもって世界で達成していくべき目標であり、またSDG Compass は国内企業・中小企業やその他の組織にも利用されることが期待されていますが、国際機関が作成したこともあり元はグローバル企業の利用が前提に作成されています。
そのため、突然SDGsに取り組もうとしても、自社で行う際の範囲や期日等を決める段階で躓いてしまったり、自社の今いるステージと目指す目標とのギャップで頓挫してしまったりする企業も多いようです。
もし、自社だけでは導入が難しい、失敗してしまったなどお困りの場合は専門コンサルタントの活用も視野に入れることをおすすめします。
今ではSDGsについてのコンサルティングサービスを提供しているところも多くなっており、「SDGs コンサルティング」などでウェブ検索すると多くのサービスがヒットします。
大きな会社であれば、コストは高めであるものの御社専属のコンサルタントを付けて対応してくれるなどサポートが充実してることが多いですし、反面小規模までの対応であれば、低コストで済ませられるところもあります。
ネクストプレナーズのSDGsコンサルティングでは、専門コンサルタントが御社の規模やご予算、ご希望・ご要望をヒアリングの上、SDGs経営の導入検討に役立つ「サービス1. SDGs検討のためのスタートアップパッケージ」と、SDGs経営を実装するための「サービス2. SDGs経営の実装のためのコンサルティングサービス」の2種類のサービスを軸に、御社に最適なご提案と御見積書を作成します。
サービス内容はコンサルティング会社によって多種多様ですので、自社に合ったコンサルティング会社を選択してください。
コラム:脱炭素宣言とSDGs、ESG投資
昨年10月、菅首相が所信表明演説にて「脱炭素宣言」を行ったことが大きな話題となりました。内容は「2050年までに日本におけるカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出0)を実現する」というもので、達成には企業の協力が不可欠です。
また、菅総理の脱炭素宣言に先んじて、2020年6月には経団連が脱炭素社会の実現に向けた「チャレンジ・ゼロ」を発案しており、トヨタ自動車や東京電力ホールディングス、3メガバンク等、130社を超える企業・団体が参加しています。
前回の記事でもお伝えしましたが、既に欧米を中心として投資家の間では、「ESGに配慮しない企業・事業からのダイベストメント(投資撤退)」を行う流れが活発化しており、特に今回の脱炭素の問題となっている石炭や石油などの化学燃料からのダイベストメントは加速化しています。
日本においてもその影響を受けることは間違いなく、一部では既に国外機関投資家の投資撤退対象になっている企業もあります。
加えて、脱炭素宣言の影響もあり、今後は国外投資家だけでなく、日本国内投資家も積極的にダイベストメントを行う可能性が高まっているため、化学燃料を用いた事業については特に企業の対応が急がれます。
このようなダイベストメントは化学燃料だけに係る話ではなく、持続可能性の低い事業全てがその対象となり得、何れはSDGsのゴールに向けた取り組み全てが、昨今の化学燃料のように対応の必要性・緊急性が高まっていくことでしょう。
最後に
今回は、企業はSDGsを導入するにあたり何から取り組めばいいのか、そしてSDG Compassとは何なのかについて解説しました。
また、前編・中編と今回の後編を通して、本稿のテーマである「Withコロナでこそ企業がSDGsに取り組むべき」ということをお伝えしてきました。
業種や業務により、最初から全てのSDGsの目標に合致する事業があるわけではないでしょう。
しかし、先述の通り、SDGsの17の目標の全てはESGに分類されます。
そのため、自社の事業とSDGsの17の目標を紐づけ、取り組みをアピールすることができれば、それは同時にESGの何れかにも配慮しているというアピールになります。
まずは自社の事業と結びつくSDGsを見つけ、社内外に発信していくことで、With/Afterコロナで加速したESG投資の流れに取り残されない「持続可能性のある企業」となることが期待されます。
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