【SDGs 導入実践】「SDG Compass」を利用した導入のポイント

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sdgs - 【SDGs 導入実践】「SDG Compass」を利用した導入のポイント

本ブログではSDGs導入手順書である「SDG Compass 」を利用して, SDGs 導入プロジェクトをすすめるためのポイントをお伝えします。「SDG Compass 」の手順にそって導入する際の注意点をまとめております。

SDGs 導入において、スタンダードな導入手順書が、GRI(Global Reporting Initiative)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)の3団体が作成した「SDG Compass」です。SDG Compass は、国際機関が作成したが故に、グローバル企業の利用が前提に作成されていますが、国内企業、中小企業やその他の組織にも利用されることが期待されています。

なお、「SDG Compass」については以下のホームページからダウンロードできます。

グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン「SDGs」

「SDG Compass」を利用した導入手順の要点を述べるに加え、自社(主に中小企業向け)での導入の際のポイントを記載したいと思います。

「SDG Compass」によるステップ

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「SDG Compass」による導入手順は、以下の5つのステップと作業ポイントが記載されています。

ステップ1. SDGsを理解する
・SDGs とは何か
・企業が SDGs を利用する理論的根拠
・企業の基本的責任

ステップ2. 優先課題を決定する
・バリューチェーンをマッピングし、影響領域を特定する
・指標を選択し、データを収集する
・優先課題を決定する

ステップ3. 目標を設定する
・目標範囲を設定し、KPI(主要業績評価指標)を選択する
・ベースラインを設定し、目標タイプを選択する
・意欲度を設定する
・SDGs へのコミットメントを公表する

ステップ4. 経営へ統合する
・持続可能な目標を企業に定着させる
・全ての部門に持続可能性を組み込む
・パートナーシップに取り組む

ステップ5. 報告とコミュニケーションを行う
・効果的な報告とコミュニケーションを行う
・SDGs 達成度についてコミュニケーションを行う

「SDG Compass」ステップ1. SDGsを理解する

まず初めのステップでは、経営陣だけでなく従業員にも、SDGsというものを知ってもらわなければなりません。経営には、何事にも共有と理解が必要とされます。

「SDG Compass」では以下のことを理解するステップとなります。
「SDGs とは何か?」
「どのように策定されたのか?」
「いかに企業がSDGsを有利に活用できるか?」
「SDGsがどれほど従来の企業責任の上に成り立っているか?」

SDGsが何かを学ぶために、17の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)から理解します。17の SDGs がつくられた経緯や SDGs を達成する必要性の理論的な根拠や達成する企業の将来像などが述べられます。

自社導入の場合の 「SDG Compass」ステップ1のポイント

当社が請負うコンサルティングでは、ステップ1 の SDGs理解のために、ステップ2 のはじめの作業をグループワークとして利用します。自社の事業、バリューチェーンとSDGsをマッピングを自らの手を動かすことで、ステップ1の SDGs 理解度は格段に深まりますので、自社主導で導入する際の理解浸透の際にはセミナー形式だけでなく、是非グループワークを取り入れてください。

「SDG Compass」ステップ2. 優先課題を決定する

本ステップは、自社に関連する SDGs の目標を洗い出し、優先順位をつけることを目的としています。また、目標の進捗を確認するためのデータが収集できるかを含めてモデルを確認します。

17 の SDGs すべてが個別企業に当てはまるわけではありません。また、重要性についても企業ごとに異なります。したがって、自社に SDGs を導入する際には、17のSDGsから自社に適した目標(ターゲットは169です。)を選択することになります。各目標に対して各企業が貢献できる程度や各目標に付随するリスクや機会等の要因を検討して、選択するということです。具体的な手法としては、自社のバリューチェーンを作成することから始まります。バリューチェーンとは、経営学者であるマイケル・ポーター教授が提唱した事業活動を、個々の工程ではなく集合体ととらえて、価値の連鎖として考えるものです。例えば原材料の調達から、開発、製造、販売、アフターサービスなどを単体ではなく一連の流れとして捉えます。自社の強みの発見や、競合と比較することによる差別化のために利用されます。

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バリューチェーンを作成したのちに、影響を及ぼすことができる SDGs をマッピングします。バリューチェーンは、事業ごとや製品ごとなど会社規模やコングロマリット度合いによって詳細レベルや範囲が異なります。しかしながらマッピング作業はあくまでも SDGsの詳細な評価をするものではなく、俯瞰的に捉え最大の効果が期待できる領域を特定するものです。また、目標のマッピングでは、既存事業の現況だけではなく、現在と将来、正と負の影響の双方向を含んで検討しなければなりません。

自社のSDGsを絞ることができたら、次の作業としてデータ取得モデルについて検討します。SDGs 各目標には事前にデータ指標は例示されています。

Japan SDGs Action Platoform

しかしながら、それらが直接的に自社で収集できるデータでないことが多くあります。その場合には、ロジックモデル(施策の論理的な構造)を利用して、自社で収集できるデータを代替指標として置き換えられるかを調べます。本ステップのデータ収集作業については、網羅的に行い最終的な KPIとして指標選択することは次のステップで行うことになります。データ収集作業は、本ステップの次の作業である優先順位を決めるための要素になるだけではなく、次ステップのSDGs の進捗確認のための指標ともなります。

自社導入の場合の「SDG Compass」ステップ2のポイント

プロジェクトを進めるにあたり、「SDG Compass」では目標選定の際に、外部のステークホルダーとの協業を対象にすることを強く推奨しています。また、収集するデータの項目についても精緻さを求めています。しかしながら、現実的には調査時間や協力依頼には限界があるためバリューチェーンの詳細レベルや範囲については、事前にプロジェクト内で合意してすすめることが望ましいです。SDGs はあくまでもステップを一方通行にすすむものではなく、PDCAを回すことが前提ですので、中小企業の場合は高いレベルでの精緻さを求めないほうがプロジェクトの停滞を防ぐためにはよいでしょう。

「SDG Compass」ステップ3. 目標を設定する

各企業の SDGs の対象レベルや範囲は、ステップ 2 で決定 した優先課題から導き出します。 SDGs の目標を設定する本ステップの作業は、他のビジネスにおける目標管理作業と大きな違いはありません。例えば、目標管理の基本的な考えである SMART の法則や 5W1Hを明確にした目標設定などが言葉が違えど求められています。SDGs での目標管理は、ステップ2 の収集されたデータから、目標管理のための KPIを選定し、ベースラインを定めます。ベースラインは、特定の時点を基準として、特定の期間においての達成目標を設定します。

「SDG Compass」では長期的な軸での意欲的な目標の設定を推奨されています。これは業界のリーディングカンパニーが率先的に意欲的な目標を掲げることで、業界全体での SDGs の機運を高めることで SDGs の目的である地球レベルでの目標達成を意図しているためです。他方で、長期的な目標は、時間軸が長いほど、説明責任が曖昧になります。この辺りは、経営目標においても同様の現象が起こりますので調整については受け入れやすいと思います。意義的目標をするために、インサイド・アウト・アプローチとアウトサイド・イン・アプローチを使って整理していくとわかりやすいでしょう。

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SDGs の目標は、社内外にコミットメントという形で宣言し、自社の社会的意義を知らせることによる企業イメージの向上だけでなく、取引先を自社の SDGs 活動に巻き込むことにも役立ちます。また、進捗報告を定期的に公表することで自社の SDGs 活動のプレゼンスが高まり、社内外の理解度が高まります。

これらの活動は、CSR活動を推し進めている上場企業では馴染みがありますが、中小企業でも SDGs の活動を通じて積極的に取り入れるべきでしょう。

自社導入の場合の「SDG Compass」ステップ3のポイント

ステップ2とステップ3の作業を切り分けることは困難であるし、ステップ3はステップ2の影響を大きく影響するのは自明ですが、実際に作業をする場合は、ステップ3の内容もステップ2に影響して後戻し工程が発生することがあります。したがって、実際の導入作業ではステップ2 とステップ3 の前半作業は一連の作業として進めることが望ましいです。

「SDG Compass」ステップ4. 経営へ統合する

SDGs導入が経営者の主導であり、SDGs 導入プロジェクトの社内スポンサーが経営者でない場合は、本ステップは非常に困難を極めることが予想されます。SDGs を経営へ統合するステップは、経営陣の SDGs へのコミットメント度合いが鍵となります。現実的には、経営陣が SDGs を理解し、企業ビジョンや経営戦略に取り入れる作業をすることは難しいです。

SDGsの17の目標と169のターゲットは、全社で取り組まなければ達成できないものが多いです。したがって、SDGs を導入するためには必ず企業の経営活動に含めなければなりません。SDGs を利用した企業の事業戦略や事業計画(中期経営計画など)を策定することは、計画タイミングのスケジュール、担当部署の違いなどもあり一元的に行うことは難しいでしょう。また、企業により経営戦略の策定プロセスは個々異なるため、統合の仕方も千差万別です。したがって、一通りの手法はありませんが、SDGs 導入の際はプロジェクトチームを設立し、プロジェクトチームには必ず経営戦略を策定する経営企画などの担当者を参加させるべきでしょう。

全社にてSDGsの目標を達成するためには、 SDGs の目標を部門目標、各従業員レベルまで評価項目に入れることができれば好ましいです。SDGs 目標を全社員に浸透させるために、OKRなどの手法を使うことも良いでしょう。

また、SDGs 目標達成には、社内の目標管理だけでなく、取引先との協業が必要となります。SDGs導入直後では、取引先への協力を取り付けることは難しいことと思いますが、ステップ5のコミュニケーションを通じて、巻き込むようにもっていくよう長期的にとらえると良いでしょう。

自社導入の場合の「SDG Compass」ステップ4のポイント

SDGs 導入ステップ1 の「SDGs の理解」は経営陣にも経験していただく必要があります。この際にポイントとして、同業他社の事例を列挙していくことを推奨します。経営陣の方は社内でもトップクラスの知識や経験がありますので、SDGs 自体の理解は早いですが、経営とのリンクについては懐疑的になるかもしれません。したがって、経営陣には SDGs の理解のためのグループワークよりも事例を中心としたプレゼンの方が役立つことがあります。経営陣によっては、SDGs 活動により自社の利益の減少を招きかねないとみる方もいます。このような状況下では、SDGs 推進プロジェクトチームの力量如何に関わってくるでしょう。コンサルティングの現場では、経営陣のなかでSDGs に反対する役員がでてしまうと、プロジェクトの進捗が非常に遅れてしまいます。自社導入の際には根回しなども必要であるかもしれません。

事例については、以下の環境省及び国際連合が提供する参考情報をご参考にください。

環境省「持続可能な開発のための2030アジェンダ/SDGs」

「SDG Compass」ステップ5. 報告とコミュニケーションを行う

SDGs の報告には、 GRI の「持続可能性報 告ガイドライン第 4 版」(2013 年)が存在するが、必ずしも採用しなければならないわけではありません。SDGs 報告書の最も重要なことは、 SDGs に関する情報(どの目標をどのような理由で選びどのような行動をするか等)を読者にとっ て発見しやすく、また視覚的にも見やすくすることです。

自社導入の場合の「SDG Compass」ステップ5のポイント

SDGs の社内外へのコミュニケーションは、上場企業などは既にプロセスが確立されていますが、中小企業などは存在しないかもしれません。これらのパブリックコミュニケーションについては、コンサルティング会社やPR会社も存在しますので、利用を含めて検討することが望ましいですが、まずは自社のホームページやパンフレットなどに積極的に公開することからはじめましょう。

さいごに

「SDG Compass」では、プロジェクトを円滑に進めるためのフレームワークだけでなく、課題を整理するためのビジネスツールや指標例(事例集)も提供されており、企業、特に大企業が短期間に導入するモデルとして重宝されています。ただし、自社の規模や業種に合致した細かい部分での作業については、詳細が述べられているものではありませんので、試行錯誤の過程が求められることに留意ください。

ステップ2、3、4については、自社がゼロベースで実施することは非常に時間を要しますので、同業種の事例を数多く参考することが役立つでしょう。プロジェクト担当者は、公的機関が配布している SDGs 導入の事例集を読了するだけでなく、積極的に SDGs に関する企業の導入事例セミナーに参加することが期待されます。

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仙頭 武宏
代表取締役社長株式会社ネクストプレナーズ
働き方改革コンサルタント兼ネクストプレナーズ社の社長。ワークライフバランス社認定上級WLBコンサルタント。「働き方改革」についての質問やブログの要望があれば、問い合わせフォームよりお気軽にお願いします。

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