SDGsの17ゴールの選び方|事業と課題の棚卸しで、中小企業が優先する2〜3ゴールを決める手順

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SDGsを始めようとして、17のゴールのどれを選べばよいか分からなくなる中小企業は少なくありません。中小機構のJ-Net21に載るQ&Aには、ステークホルダーとありたい姿の整理から優先課題の絞り込みまでの手順があります。この記事では、その考え方を基に、事業と課題を棚卸しして、取り組むゴールを2〜3つに決める5つのステップを解説します。

SDGsの17ゴールとは?選び方を決めておく理由

SDGsの17ゴールとは、2015年の国連サミットで採択された、2030年までに達成をめざす17の目標のことです。国連広報センターによると、各ゴールの下には、具体的な達成目標である169のターゲットが置かれています。

どのゴールにどう取り組むかは、企業が自分で決めるものです。中小機構のQ&Aは、SDGsへの取り組みそのものに許可は要らず、自社で自由に取り組めると説明しています。別のQ&Aによると、基準や制限、罰則もありません。

決まった型がない分、選ぶ軸を持たないまま始めると、ゴールのアイコンを並べるだけの取り組みになりかねません。J-Net21のQ&Aには、ステークホルダーとありたい姿から考え、優先課題を絞り込む順序が示されています。この記事は、その順序に沿って、取り組むゴールを選ぶ方法を整理しました。

何個に絞るかは、確認できた公表資料に決まりがありません。2〜3ゴールという数は、当社が中小企業に勧める目安です。担当者の人数や社内の体制に合わせて調整してください。

まず17ゴールの名称を確認する

国連広報センターが示す、17ゴールの名称は次のとおりです。

番号 ゴールの名称
1 貧困をなくそう
2 飢餓をゼロに
3 すべての人に健康と福祉を
4 質の高い教育をみんなに
5 ジェンダー平等を実現しよう
6 安全な水とトイレを世界中に
7 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8 働きがいも経済成長も
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
10 人や国の不平等をなくそう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任、つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう
16 平和と公正をすべての人に
17 パートナーシップで目標を達成しよう

名称だけで判断しないでください。J-Net21のQ&Aも、各ゴールの下にある169のターゲットまで紐づけて、自社の形を探すよう勧めています。名称が自社と遠く見えても、ターゲットを読むと、すでに取り組んでいる内容に近いことも少なくありません。

17ゴールから自社のゴールを選ぶ5つのステップ

選び方は、次の5つのステップで進めます。手順は、中小機構のJ-Net21にある支援者向けQ&Aの内容を基に、当社が並べ直したものです。

  1. ステップ1:大切にしたいステークホルダーと、ありたい姿を決める
  2. ステップ2:今の事業と取り組みを棚卸しして、17ゴールに当てはめる
  3. ステップ3:リスクと機会の観点で、課題のキーワードを見える化する
  4. ステップ4:インパクトの大きさで並べて、優先するゴールを絞る
  5. ステップ5:5年後・10年後を見て、最初の1年の目標に落とす

ステップ1:大切にしたいステークホルダーと、ありたい姿を決める

最初に決めるのは、ゴールの名前ではなく、誰のために取り組むのかです。ゴールの設定方法のQ&Aによると、まず大切にしたいステークホルダーと未来のありたい姿を整理します。そのうえで、現状とのギャップから目標を検討します。

ステークホルダーとは、顧客、従業員、取引先、地域など、会社の活動に関わる相手のことです。ゴールを先に眺めると、聞こえのよいものに引きずられやすくなります。先に相手と将来像を決めておけば、後の選択で迷いにくいでしょう。

進め方の例も示されています。実践の手順のQ&Aでは、経営者、幹部、管理職、現場リーダークラスから、10名弱のプロジェクトチームを作る例です。各メンバーが考えたステークホルダーとありたい姿を、議論を重ねて会社全体のものに集約していきます。会社の規模によっては、人数をこの例どおりにそろえなくてもかまいません。

ステップ2:今の事業と取り組みを棚卸しして、17ゴールに当てはめる

棚卸しとは、自社がすでにやっていること、これからできることを書き出して整理することです。J-Net21のQ&Aによると、中小企業は地域の雇用の守り手として、すでにSDGsにつながる取り組みをしていることが多くあります。気づいていないだけ、という場合も少なくありません。まず、その取り組みを認識することが出発点です。

同じQ&Aは、次の順に検討するよう示しています。

  • 現在行っている事業を、SDGsのゴールに当てはめる
  • 今後できることと、取り組みたいことを検討する
  • 人材採用、安定受注、資金調達、連携先へのアピールなど、方向性に沿う形で具体的な取り組み方を考える

書き出しの切り口には、経済・環境・社会の3つが使いやすいです。経済・環境・社会のバランスのQ&Aが、この3つで中小企業の取り組みの例を挙げています。次の表は、そのQ&Aの例に、当社がゴールを当てはめた一例です。

切り口 Q&Aが示す取り組みの例 当てはめるゴールの例(当社の一例)
経済 安定した利益と付加価値の確保、一定水準の賃金、採用と設備投資 ゴール8 働きがいも経済成長も
環境 廃棄物の削減、CO2排出量の削減、環境に貢献する商品・サービスの展開 ゴール12 つくる責任、つかう責任/ゴール13 気候変動に具体的な対策を
社会 長時間労働・ハラスメント・メンタルヘルスの対策、中高生の実習受け入れや出前授業、地域イベントへの協賛・参加 ゴール8 働きがいも経済成長も/ゴール4 質の高い教育をみんなに/ゴール11 住み続けられるまちづくりを

当てはめは、ターゲットの文言を読んで確かめましょう。1つの取り組みに複数のゴールが紐づくこともあります。J-Net21のQ&Aも、ゴールは独立せず、すべて影響し合うという視点を示しています。

ステップ3:リスクと機会の観点で、課題のキーワードを見える化する

次は、棚卸しの結果から課題を言葉にする段階です。優先課題の絞り込みのQ&Aでは、まず会社のミッション、経営理念、顧客からの要求などを見直します。そのうえで、リスクと機会の観点から、現在の活動と今後の展開を表すキーワードを書き出し、見える化する流れです。

リスクと機会は、たとえば次のように分けて考えます。

  • リスク:取り組まないと困ること。取引先の調達条件を満たせなくなる、採用で選ばれにくくなる、など
  • 機会:取り組むと広がること。新しい販路、地域との連携、社内の定着率の改善、など

外からの期待も、このステップで確認しましょう。同じQ&Aは、地域社会や日本社会、世界が自社に解決を期待している社会課題は何かを、確認事項に挙げています。顧客や取引先の声が、ヒントになるでしょう。

ステップ4:インパクトの大きさで並べて、優先するゴールを絞る

絞り込みには、インパクト分析を使います。J-Net21のQ&Aでは、自社の事業へのインパクトと、社外へのインパクトを、それぞれ大小に分けて分布図にまとめます。社外とは、地域・社会・環境などです。両方が大きい右上のものから、優先度を整理していきます。

当社の実務では、次の順で進めます。

  1. ステップ3のキーワードを、カードに1枚ずつ書く
  2. 横軸を自社事業へのインパクト、縦軸を社外へのインパクトにして、大小4つの区画に置く
  3. 右上の区画から順に、関連するゴールを確認する

判断が割れる場合の基準も、Q&Aに書かれています。自社と社外のインパクトのバランスが一方に偏るときは、経営理念、ビジョン、ミッションに照らして決めます。照らす視点は、大切にしたいステークホルダー、ありたい姿、解決したい社会課題の3つです。

この段階で、取り組むゴールを2〜3つに絞ります。冒頭に書いたとおり、2〜3つは当社の目安です。担当者が1年で動かせる範囲に収めるための数で、公表資料が定めた数ではありません。

ステップ5:5年後・10年後を見て、最初の1年の目標に落とす

優先課題のQ&Aは、5年後、10年後に至る未来も視野に入れて考えるよう示しています。数年先を見てゴールを選んでおけば、担当者が代わっても方針がぶれにくいでしょう。

ゴールを選んだ後の進め方は、自社事業と17の目標を紐づけた後のQ&Aにあります。5年後、10年後までの取り組み目標を分けて、初年度の目標を決める流れです。各部門の取り組みを整理し、具体的な数値目標を掲げる点も、Q&Aの内容です。初年度は野心的になりすぎず、全部門が達成できる目標にするよう勧めています。

ゴールを選ぶときの注意点

アイコンを並べるだけにしない

SDGsに基準や制限、罰則はありませんが、見かけだけの取り組みは避けるよう、J-Net21のQ&Aは示しています。確認する点は、次の3つです。

  • 経済・環境・社会のバランスが取れているか
  • アイコンを並べているだけで、実質的な効果を期待しにくい取り組みになっていないか
  • 実現したい未来のありたい姿と、解決したい社会課題が明確か

同じQ&Aによると、ありたい姿と取り組みたい社会課題が明確なほど、SDGsウォッシュへの懸念は少なくなります。SDGsウォッシュとは、実態以上にSDGsに取り組んでいるように見せることです。発信するときの表現の点検は、SDGsウォッシュ対策の記事で整理しています。

絞ったゴールの外にも目を配る

ゴールを2〜3つに絞っても、他のゴールとの関係は消えません。ステップ2で見たとおり、ゴールは互いに影響し合うと考えるのが、J-Net21のQ&Aの立場です。年に1回は、棚卸しの一覧を見直し、優先するゴールを入れ替えるかどうかを検討してください。

ロゴを使うときは条件を確認する

選んだゴールを名刺やホームページで発信するときは、SDGsロゴの扱いに注意が必要です。J-Net21のQ&Aによると、ロゴの使用には、国連広報センターの「ロゴ使用のためのガイドライン」に従う必要があります。商業用途や資金調達の目的では、国連本部の事前許可とライセンス契約が必要で、許可が下りない場合が多いとされています。一方、情報目的なら、ガイドラインとよくある質問の範囲内で、事前の許可は要りません。使う前に、最新のガイドラインを確認してください。

ゴールを決めた後に読む記事

取り組むゴールが決まったら、次の場面で使えます。当社の関連記事も参考にしてください。

ネクストプレナーズの見解

ゴール選びで最初に迷うのは、17個の中身よりも、誰のための取り組みかが決まっていないことだと考えます。一覧から選び始めるより、本業ですでにやっていることを棚卸しして、そこに当てはまるゴールを選ぶ順番をおすすめします。ゴールを広げすぎると、担当者の手が回らなくなりがちです。2〜3ゴールに絞って実績を積むほうが、続けやすいでしょう。

当社も、SDGs導入の支援サービスで、事業と17ゴールの照合による重要課題の特定を支援しています。初回ヒアリングは無料で、全国オンラインに対応しています。

監修者

監修:仙頭 武宏(株式会社ネクストプレナーズ 代表取締役社長)

東京工業大学(現・東京科学大学)工学部制御システム工学科卒業。日本オラクル株式会社でエンジニア、コンサルタントを経て経営企画室マネージャを務める。一橋大学大学院商学研究科(現・一橋ビジネススクール)経営学修士(MBA)修了。独立コンサルタントを経て、2012年より株式会社ネクストプレナーズ代表取締役社長。

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本記事は公的機関の公表資料等を基にした一般的な情報です。個別の制度設計・手続きは専門家にご確認ください。

よくある質問

Q. 中小企業は、SDGsの17ゴールのうちどれに取り組めばよいですか。

どのゴールにも決まった正解はなく、自社が大切にしたいステークホルダーとありたい姿から決めます。中小機構のJ-Net21のQ&Aは、棚卸しと優先課題の絞り込みを手順として示しています。当社の目安は、棚卸しの結果から2〜3ゴールに絞る方法です。

Q. SDGsの17ゴールすべてに取り組む必要はありますか。

すべてに取り組むことを求める記載は、確認した中小機構のQ&Aにはありません。SDGsには基準や制限、罰則がなく、取り組み方は企業が自由に決められるとされています。優先課題を絞り込む手順が示されているので、まず自社の事業に近いゴールから始める方法もあります。

Q. SDGsのゴールは、何個に絞ればよいですか。

個数に決まりはなく、確認できた公表資料にも、絞る数の定めはありません。当社は、担当者が1年で動かせる範囲として、2〜3ゴールを目安にしています。人員や体制に余裕があれば、棚卸しの結果に合わせて増やしてもかまいません。

Q. SDGsに取り組むゴールを決めるのに、許可や届け出は必要ですか。

取り組みそのものに許可は要りません。J-Net21のQ&Aは、SDGsは方向目標のため自社で自由に取り組めると説明しています。ただし、ロゴの使用には条件があります。商業用途や資金調達の目的では、国連本部の事前許可とライセンス契約が必要です。

Q. 1つの取り組みが複数のゴールに当てはまる場合は、どう選べばよいですか。

複数のゴールに紐づけて構いません。J-Net21のQ&Aは、ゴールは独立しておらず、すべて影響し合うという視点を示しています。ターゲットの文言を読んで、関係の深いゴールを確かめます。優先順位は、自社と社外へのインパクトの大小を分布図にまとめて決めるとよいでしょう。

出典・参考資料

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人事ブログ編集部
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