えるぼし・くるみん・ユースエール認定の違い|中小企業が最初に取る認定の選び方

この記事が役立ったら、シェアをお願いします。

えるぼし・くるみん・ユースエールは、いずれも厚生労働大臣が認定する制度です。女性の活躍、仕事と子育ての両立、若者の採用・育成に優れた企業を、それぞれ認めます。評価の対象も根拠法も別なので、最初に取る認定は自社の数字で選ぶのが近道です。この記事では、3つの認定の違い、中小企業が押さえたい基準と優遇、選び方の手順、SDGsや採用への活かし方を解説します。

3つの認定の違いを先に整理

えるぼし・くるみん・ユースエールは、どれも厚生労働大臣が認定する制度です。違いは、何を評価するかにあります。えるぼしは女性の活躍推進、くるみんは仕事と子育ての両立支援、ユースエールは若者の採用と育成が評価の対象です。

根拠となる法律も別々です。えるぼしは女性活躍推進法、くるみんは次世代育成支援対策推進法、ユースエールは若者雇用促進法にもとづきます。

項目 えるぼし くるみん ユースエール
根拠法 女性活躍推進法 次世代育成支援対策推進法 若者雇用促進法
評価の対象 女性の活躍推進 仕事と子育ての両立支援 若者の採用・育成
対象となる企業 行動計画を策定・届出・公表した企業(規模の大小を問わず申請可) 規模・業種を問わない 常時雇用する労働者が300人以下の中小企業
認定の種類 1〜3段階目、プラチナえるぼし くるみん、プラチナくるみん、トライくるみん 1種類
基準の中心 採用、継続就業、労働時間、管理職比率、多様なキャリアコースの5項目 男女の育児休業等の取得率、時間外・休日労働の時間など 3年以内離職率、所定外労働、有給休暇の取得率など12の基準すべて
主な優遇 公共調達の加点、日本政策金融公庫の低利融資、認定マーク 助成金、賃上げ促進税制の上乗せ、公共調達の加点、低利融資 ハローワークでの重点的なPR、認定企業限定の面接会、公共調達の加点、低利融資

どれから取るかは、自社の数字で決めるのが近道です。まず基準を満たしている認定を選び、そのあとで他の認定を目指す順番が現実的です。

えるぼし認定とは

えるぼし認定は、女性活躍推進法にもとづく制度です。行動計画を策定して届け出た企業のうち、女性の活躍推進の取り組み状況が優良な企業を、厚生労働大臣が認定します。

段階は、1〜3段階目のえるぼしと、上位のプラチナえるぼしに分かれます。プラチナえるぼしは、えるぼし認定を受けた企業が対象です。

評価される5つの項目

認定基準は、次の5項目で構成されます。

  • 採用:採用競争倍率の男女比、正社員等に占める女性の割合
  • 継続就業:平均勤続年数の男女比、または継続雇用割合の男女比(どちらか一方)
  • 労働時間等の働き方:法定時間外労働と休日労働の月平均時間
  • 管理職比率:管理職に占める女性の割合、課長級への昇進割合の男女比
  • 多様なキャリアコース:非正社員から正社員への転換など

このほかに、共通の条件が3つあります。行動計画を策定・届出・周知・公表していること。女性活躍推進法や労働基準法などに違反していないこと。取り組みの状況を「女性の活躍推進企業データベース」で公表していることです。

中小企業が押さえておきたい3つの点

1つ目は、行動計画の扱いです。従業員101人以上の企業には行動計画の策定・届出が義務づけられ、100人以下の企業は努力義務にとどまります。ただし、認定を受けるには、100人以下の企業でも計画を策定し、届出・周知・公表する必要があります。

2つ目は、データベースへの公表です。申請の前に、実績を同データベースで公表しておく必要があり、公表した日を証明できる状態にしておきます。

3つ目は、認定後の更新です。認定を受けたあとも、公表している内容を少なくとも年に1回は更新する必要があります。

2026年4月からの変更点

2026年4月1日から、えるぼし(1段階目)の認定基準が緩和されました。あわせて、女性の健康支援に取り組む企業を示す「えるぼしプラス」「プラチナえるぼしプラス」も新設されています。基準に使う平均値は期間ごとに公表されるため、申請時点で最新の内容を厚生労働省の案内で確認してください。

えるぼしで受けられる優遇

認定企業は、認定マークを使えるほか、国の公共調達で加点評価を受けられます。対象は総合評価落札方式や企画競争を行う各府省等の調達です。日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」でも、低い金利で融資を受けられます。

また、えるぼしの取得を考える企業向けに、厚生労働省は女性活躍推進アドバイザーによる無料の支援を用意しています。現状の把握、行動計画の策定、情報公表、認定取得の相談ができます。

くるみん認定とは

くるみん認定は、次世代育成支援対策推進法にもとづく制度です。行動計画を策定して目標を達成し、一定の基準を満たした企業を、厚生労働大臣が「子育てサポート企業」として認定します。企業の規模や業種を問わず申請できます。

認定の3つの種類

認定には、くるみん、より高い水準のプラチナくるみん(特例認定)、2022年4月に新設されたトライくるみんがあります。トライくるみんは、時間外・休日労働の基準を求めません。男性の育児休業等の取得率も、くるみんより低い水準です。

くるみんの主な基準

次世代育成支援対策推進法施行規則で、くるみんの基準として次のような内容が定められています。

  • 計画期間が2年以上5年以下で、計画に定めた目標を達成し、計画を公表・周知していること
  • 男性の育児休業等の取得率が30%以上であること(育児休業等と育児目的の休暇を合わせて50%以上で、育児休業等の取得者が1人以上いる場合も可)
  • 女性の育児休業等の取得率が75%以上であること(有期雇用の女性労働者も75%以上)
  • 時間外・休日労働が1人あたり月30時間未満(25〜39歳は月45時間未満)であること。月平均60時間以上の時間外労働をした人がいないこと
  • 男性の育休の長期化、有給休暇の取得促進、短時間正社員制度、テレワークなどから、具体的な目標を立てて措置を実施していること
  • 重大な法令違反がないこと

基準は2025年4月1日に引き上げられ、経過措置も設けられています。申請の時期によって適用される基準が変わるため、厚生労働省のくるみん紹介ページで最新の内容を確認してください。

中小企業向けの特例

従業員300人以下の中小事業主には、基準を満たしやすくするための特例があります。

  • 計画期間中に男性の育児休業取得者がいなくても、男性の子の看護等休暇の利用者がいれば、基準を満たせる
  • 過去3年間の男性の取得率が30%以上であれば足りる、という扱いも可能
  • 女性の取得率75%は、計画期間の3年前までさかのぼって算出できる

くるみんで受けられる優遇

  • くるみん助成金:従業員300人以下の中小企業が対象で、上限は50万円。期間は2021年10月から2027年3月まで
  • 賃上げ促進税制:くるみんまたはプラチナくるみんの認定を受けた中小企業は、税額控除率が上乗せされる
  • 公共調達:国の調達で加点評価を受けられる
  • 日本政策金融公庫の働き方改革推進支援資金:従業員100人以下の企業と、一定の要件を満たしたくるみん認定企業は、金利が引き下げられる

認定マークは、商品、広告、取引書類、営業所、インターネット上の情報のほか、労働者の募集広告や文書にも付けられます。求人票や採用サイトに掲載しやすい点は、採用面でも役立ちます。

ユースエール認定とは

ユースエール認定は、若者雇用促進法にもとづく制度です。若者の採用・育成に積極的で、雇用管理の状況が優良な中小企業(常時雇用する労働者が300人以下)を、厚生労働大臣が認定します。基準は12あり、すべてを満たす必要があります。

基準の例

  • 新規学卒者など若者を対象とした正社員の募集を行っていること
  • 直近3事業年度の新卒採用者の入社後3年以内の離職率が20%以下であること(採用が3〜4人の場合は離職者1人以下)
  • 前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下で、法定時間外労働が月平均60時間以上の人がいないこと
  • 有給休暇の取得率が平均70%以上、または年平均10日以上であること
  • 直近3事業年度で、男性の育休等の取得者が1人以上いるか、女性の育休等の取得率が75%以上であること(対象者がいなければ、就業規則に定めがあれば足りる)
  • 人材育成の方針と教育訓練計画があること

若者の採用・定着に焦点を当てた制度のため、新卒採用を行っていない企業は、そもそも応募の入り口に立てません。

認定後の報告と取り消し

認定後は、基準を維持していることを毎年、労働局に報告します。基準を満たさなくなった場合は、認定が取り消されることがあります。

ユースエールの5つのメリット

  • ハローワーク等での重点的なPR
  • 認定企業限定の就職面接会などへの参加
  • 認定マークの使用
  • 日本政策金融公庫による低利融資
  • 公共調達での加点

とくに、ハローワークでの重点的なPRと限定の面接会は、知名度の低い中小企業が若手に出会う機会を増やす仕組みです。

最初に取る認定の選び方

認定は「取りたいもの」から選ぶより、「基準を満たせるもの」から選ぶほうが失敗しません。次の順で進めます。

ステップ1:自社の数字を出す

次の数字を、直近の実績で書き出します。

  • 女性の管理職比率、男女別の平均勤続年数
  • 男女別の育児休業等の取得率
  • 新卒採用者の3年以内離職率
  • 月平均の所定外労働時間、有給休暇の取得率

ステップ2:状況に合わせて候補を絞る

自社の状況 最初の候補
新卒採用を続けており、離職率と残業時間が低い ユースエール
男女ともに育児休業の取得実績がある くるみん
女性の採用・定着・管理職登用の数字が整っている えるぼし
どの基準にも届いていない 行動計画を作り、数字の改善から始める(えるぼし・くるみんは行動計画が出発点)

複数に当てはまる場合は、採用で訴えたい相手に合わせて選びます。若手の応募を増やしたいならユースエール、育児期の社員の定着を示したいならくるみん、女性の活躍を示したいならえるぼしです。

ステップ3:算出方法を確認する

男性の育児休業取得率や離職率などは、制度ごとに数え方が異なります。自社の数字を当てはめる前に、各制度の算出方法を確認してください。同じ「取得率」でも、分母に含める人や期間が違うことがあります。

ステップ4:窓口に相談する

えるぼしとくるみんの申請は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が窓口です。ユースエールは、労働局またはハローワークに相談できます。えるぼしは、前述の女性活躍推進アドバイザーの無料支援も使えます。

SDGs・採用への活かし方

3つの認定が扱う分野は、SDGsのゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」やゴール8「働きがいも経済成長も」と重なりやすい領域です。ただし、厚生労働省の認定制度の説明に、SDGsとの対応は示されていません。ゴールとの結びつけは、各社が取り組みを整理するための手段として使うものです。

認定を受けても、SDGsの達成を国が認めたわけではありません。「認定を受けた」という事実と、「SDGsに貢献している」という説明は分けて書きます。

ゴールとの対応を示す場合は、どの取り組みがどのゴールにつながるのかを、自社の言葉で説明してください。根拠の弱い表現は、SDGsウォッシュと受け取られかねません。詳しくはSDGsウォッシュ対策|2026年改定の環境表示ガイドラインをご覧ください。

採用での使い方

求人票や採用サイトでは、認定の名称、段階、取得した時期を明記します。「子育てを応援する会社です」と書くより、認定の名称と取得時期を示すほうが、求職者には伝わります。

くるみんは、認定マークを労働者の募集広告や文書に付けられると定められています。えるぼしやユースエールのマークの使い方は、各制度の案内で確認してください。

採用につなげる発信の進め方は、SDGsを採用に活かす方法|求職者に伝わる発信の5ステップと注意点で解説しています。

SDGsの取り組みとしての位置づけ

自治体のSDGs登録制度への申請や宣言を考えているなら、認定の取得実績は取り組み内容の裏づけとして書けます。宣言の作り方は中小企業のSDGs宣言の作り方、ゴールの選び方はSDGsの17ゴールの選び方を参考にしてください。融資や補助金との関係はSDGs・ESGの取り組みで受けられる融資の優遇と補助金にまとめています。

取得前に知っておきたい注意点

認定は、取って終わりではありません。えるぼしは公表内容を年に1回以上更新する必要があり、ユースエールは毎年、基準の維持を労働局に報告します。基準を満たさなくなると、ユースエールは認定が取り消されることがあります。

また、労働関係法令に違反していないことも、各認定に共通する前提です。残業代の未払いなどがあれば、数字が基準に届いていても認定は受けられません。

制度の改正にも注意が必要です。くるみんは2025年4月に基準が引き上げられ、えるぼしは2026年4月に基準が見直されました。古い記事や過去の資料の数字をそのまま使わず、申請の前に厚生労働省の最新の案内を確認してください。

ネクストプレナーズの見解

認定は、取ること自体よりも、自社の人事データを点検するきっかけとして価値があると考えます。女性の管理職比率、育児休業の取得率、新卒の離職率などは、認定を目指さなくても把握しておきたい指標です。

最初の1つは、いちばん取りやすいものより、採用や取引で相手に伝えたい内容に合うものを選ぶほうが、取得後の発信に活かしやすいでしょう。

当社も、SDGs導入の支援サービスで、えるぼし・くるみん認定をはじめとする認証・認定の選定と取得のプロセスを支援しています。初回ヒアリングは無料で、全国オンラインに対応しています。

監修者

監修:仙頭 武宏(株式会社ネクストプレナーズ 代表取締役社長)

東京工業大学(現・東京科学大学)工学部制御システム工学科卒業。日本オラクル株式会社でエンジニア、コンサルタントを経て経営企画室マネージャを務める。一橋大学大学院商学研究科(現・一橋ビジネススクール)経営学修士(MBA)修了。独立コンサルタントを経て、2012年より株式会社ネクストプレナーズ代表取締役社長。

プロフィールを見る

本記事は公的機関の公表資料等を基にした一般的な情報です。個別の制度設計・手続きは専門家にご確認ください。

よくある質問

Q. えるぼし・くるみん・ユースエール認定は何が違いますか。

評価する対象が違います。えるぼしは女性の活躍推進、くるみんは仕事と子育ての両立支援、ユースエールは若者の採用・育成です。根拠法も、女性活躍推進法、次世代育成支援対策推進法、若者雇用促進法とそれぞれ異なります。ユースエールは常時雇用する労働者が300人以下の中小企業が対象で、えるぼしとくるみんは規模を問わず申請できます。

Q. 中小企業が最初に取る認定は、どれを選べばよいですか。

基準を満たしているものから選ぶのが基本です。新卒採用があり、離職率と残業が低いなら、ユースエールが候補です。男女ともに育児休業の取得実績があれば、くるみんです。女性の採用・定着・管理職登用の数字が整っていれば、えるぼしになります。複数に当てはまる場合は、採用で訴えたい相手に合わせて選んでください。

Q. 従業員100人以下の会社でも、えるぼしやくるみんは取れますか。

取れます。行動計画の策定・届出は、101人以上の企業は義務で、100人以下の企業は努力義務です。ただし、認定を受けるには、100人以下の企業でも計画を策定し、届出・周知・公表する必要があります。くるみんには、従業員300人以下の中小事業主向けの特例もあります。

Q. 認定を受けると、どのようなメリットがありますか。

3つの認定に共通する主なものは、認定マークの使用、公共調達での加点、日本政策金融公庫の低利融資です。くるみんには、中小企業向けのくるみん助成金(上限50万円)や賃上げ促進税制の上乗せがあります。ユースエールには、ハローワークでの重点的なPRや、認定企業限定の面接会があります。内容は変わることがあるため、申請前に厚生労働省の案内で確認してください。

Q. 認定を受けたあとに必要な手続きはありますか。

制度によって異なります。えるぼしは、公表している内容を少なくとも年に1回更新する必要があります。ユースエールは、基準を維持していることを毎年、労働局に報告し、満たさなくなると認定が取り消されることがあります。

Q. 認定を受ければ、SDGsに取り組んでいると言えますか。

認定を受けたことと、SDGsに貢献していると説明することは分けて考えます。3つの認定が扱う分野は、ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」やゴール8「働きがいも経済成長も」と重なりやすい領域です。ただし、厚生労働省の認定制度の説明に、SDGsとの対応は示されていません。ゴールとの結びつけは、自社の取り組みを整理するために使ってください。認定の名称・段階・取得時期もあわせて示し、事実と整理を分けて書きます。

出典・参考資料

The following two tabs change content below.
投稿者アバター
人事ブログ編集部
ネクストプレナーズは働き方改革の様々な提案を行っております。ブログによる情報発信に加えて,セミナーも開催しておりますので是非ご参加ください。

人と制度に関するご相談は

  • 当社は、人事制度、企業年金制度、社宅制度等の企業の制度設計コンサルティングだけではなく、生成AI・DX導入による働き方改革を支援しております。また、労働組合向けにコンサルティングサービスも提供しています。お困りなことがございましたら、ご相談ください。

この記事が役立ったら、シェアをお願いします。