【解説】育児短時間勤務制度・介護のための短時間勤務制度等の措置とは?

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短時間勤務 - 【解説】育児短時間勤務制度・介護のための短時間勤務制度等の措置とは?

育児・介護の充実は、ともに家族生活を豊かに、そして健全に送りたいと願う人々にとって切実な希望です。

長時間労働の抑制やさまざまな支援制度の導入などによって、事業者企業側は育児・介護による職場離れを防止し、雇用を維持しつつ仕事と生活の調和を実現する必要があります。

最近では保育園・幼稚園の数を増えたり、デイサービスや訪問介護を提供する事業者が増えたりなど、以前よりはずっと労働者の選択の幅が広がってきました。

しかし、これらを利用するときにも、労働者には時間的制約がつきものです。
朝早くに保育園に送り、夕方には迎えに行かなければならない、こういった生活は心理的にも体力的にも負担になるため、企業側はその負担軽減のための施策を用意することが望ましいです。

今回取り上げるのは、このような時間的な制約を緩和するための措置である「育児短時間勤務制度・介護のための短時間勤務制度等の措置」です。

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育児短時間勤務制度の概要

「育児の短時間勤務制度」とは、3歳に満たない子を養育する労働者について、労働者の希望により労働時間を短縮することによって、労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするための措置をいいます。

この措置は、育児・介護休業法に定められた事業主の義務であり、単に制度上運用されているだけでは足りず、就業規則等の社内規程によって規定されているなどの措置が必要となります。

2009年に従業員が101名以上いる企業のみの義務として法律上定められましたが、その後制度は社会のニーズに合わせて徐々に拡大され、現在では「労働者からの申し出があった場合」には事業者は労働時間の短縮に応じなければならないことになっています。

では、具体的な制度の内容について紹介していきましょう。

育児短時間勤務制度の対象者

原則的に、3歳に満たない子を養育しており、一日の所定労働時間が6時間以上である労働者が対象となります。

正社員、契約社員、パート、アルバイトなど雇用形態問わず利用可能ですが、日雇い労働者は除外されています
また、労使協定により適用除外された以下の労働者に該当する場合には、利用できません

(1)その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
(2)1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
(3)業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者

(3)については事業者の定め方によっては適用除外が大きくなりそうですが、政府の指針(平成21年厚生労働省告示第509号)では、国際線の客室乗務員の業務、時間制の交代勤務による製造業務、個人ごとに担当企業・地域が厳密に区分けされていて代替人員を手当てすることが困難である業務、などが挙げられています。

しかし、このような業務に該当するから直ちに適用除外とするのではなく、個別具体的な事情を加味して弾力的に運用し、できる限り適用対象とすることが望ましいとされています。

育児短時間勤務制度の内容

「短時間勤務制度」といっても、どのぐらいを短時間勤務というのかについては議論の分かれるところですが、一日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものでなければならないとされています。

そのうえで、さらに一日の所定労働時間を7時間とすることを可能としたり、隔日勤務も可としたりするなどいろいろなバリエーションを設けることは、労働者の選択肢を増やすための措置として好ましい制度です。

育児短時間勤務制度の手続き

育児の短時間勤務制度の手続きについては法律上、「労働者の申し出により」という規定しかなく、具体的な手続きについては各事業者が就業規則等の社内規程上に定めることになっています。
短期勤務を始める概ね1か月前に書面で申請するなどの制度を設けることになるでしょう。

※参考:厚生労働省・短時間勤務制度(所定労働時間の短縮等の措置)について

介護のための短時間勤務制度等の措置の概要

「介護のための短時間勤務制度等の措置」とは、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について、就業しつつ対象家族の介護ができるよう連続する3年間以上の期間において所定労働時間の短縮等の措置を講じなければならないという制度です(育児・介護休業法第23条第3項)。

この制度は、3年間以上の期間の中で、2回以上利用できるような制度にする必要があります

介護のための短時間勤務制度等の措置の対象者

介護のための短時間勤務制度の対象者については、育児の短時間勤務制度と同様、正社員、パートなど契約形態に関わらず利用できますが、日雇い労働者は除外されています

また、労使協定で適用除外とされた次の労働者は対象となりません
(1)その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
(2)1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

介護のための短時間勤務制度等の措置の内容

介護のための短時間勤務制度の内容については、単に所定労働時間を短縮したり、隔日勤務にしたりなど労働時間を減じたりする措置を講ずるのみならず、以下のような措置も認められています

(1) フレックスタイム制度
(2) 時差出勤制度(出勤時間を繰り上げ、または繰り下げる制度)
(3) 介護サービスの費用を助成する制度その他これに準ずる制度

事業主は、介護のための短時間勤務制度を申請した労働者に対して、上記の制度のうち1つの措置を講ずれば足り、労働者の求めに応じて複数の措置を講ずることまでは求められていません。

しかし、制度趣旨を鑑み、労働者の個別的な事情を斟酌して体力的・心理的負担を軽減するように配慮することが求められているといえるでしょう。

介護のための短時間勤務制度等の措置の手続き

介護のための短時間勤務制度の手続きについては、育児の短時間勤務制度の手続き同様、法律上詳細な規定はありません。
具体的な手続きについては各事業者が就業規則等の社内規程上に定めることになっています。

※参考:厚生労働省・育児・介護休業法(介護関係制度)の概要

両制度の違い

短時間勤務2 - 【解説】育児短時間勤務制度・介護のための短時間勤務制度等の措置とは?

育児短時間勤務制度と介護のための短時間勤務制度、制度の目的はいずれも同じです。
すなわち、「仕事」と「結婚・出産・育児」、あるいは「仕事」と「介護」が二者択一となっている社会構造を打破し、仕事と家庭生活の調和を図り、多様な働き方を実現するための制度の一つです。

助成金や休業制度も大事な制度ではありますが、短時間勤務制度は労働者の時間的制約を取り払い、直接的に仕事と家庭の両立を実現する制度として重要です。

しかし、育児の短時間勤務制度と介護のための短時間勤務制度には異なる点もあります。

育児については、保育園の登園時間が決まっている、場所が決まっているなど、特に朝・夕の時間的余裕ができれば負担の軽減につながるでしょう。
一方で介護の場合は要介護の状態によって様々な違いがあります。食事、買い物、病院への送り迎え、リハビリ、掃除・洗濯などの家事、入浴の介助などその介護の態様によって時間も様々です。

また、介護という性質上、長期間付き合っていく性質のものであり、いつ終わるとも限りません。

このような違いから、介護のための短時間勤務制度にはフレックスタイム制や時差出勤制など、いろいろな措置が法律上用意されていますし、もちろん要介護者の年齢などについても制限はありません。

短時間勤務制度は職場の負担も軽減する制度

短時間勤務制度は、休業制度に比べ、職場の負担も軽いといえます。
それだけに、労働者にとっても利用しやすい制度であることは間違いありません。
事業者としては、単に社内規程に定めるのみならず、定期的に情報発信をすることにより、短時間勤務制度についての理解を深め、利用しやすいような雰囲気を醸成することが重要です。

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