【解説】社員教育を効率化する「eラーニング」|概要と導入のポイント

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企業研修におけるeラーニングとは、自社の教育コンテンツや他社が提供するビジネス研修コンテンツを、インターネットを通じて社員に提供する教育システムのことです。

企業の持続的成長を可能にし、業績の向上を目指すためには、社員の知識・技能を向上させていくことが先決です。

しかし企業の中には、社員教育が重要だとわかっていながらOJTに頼っている、もしくは会議室に一堂に会して社内研修を数回行うだけ、というところを多数見かけます。
もっと社内研修や社員教育を効率的に行いたいと思っている人事担当者も多いことでしょう。

今回は、社内研修を効率的に進める手段のひとつである「eラーニング」について、導入の際のポイントを詳細に解説していきます。

eラーニングの概要

eラーニングとは、一般的にはインターネットを通じた学習形態全般を指しますが、企業研修においては、自社の教育コンテンツや他社が提供するビジネス研修コンテンツを、インターネットを通じて社員に提供する教育システムのことをいいます。

従来では、新入社員のビジネスマナー研修や通常業務に必要な知識についての研修はOJT(実務を体験させながら行う研修)や集合研修によって行うことが主流でした。
しかし、OJTでは均一のスキルや知識を提供できない、集合研修では費用や時間の制約があって頻繁に行うことができないなどの問題があります。
さらに、最近ではコロナウイルスの影響により、在宅ワークが増え、多数の社員が一つの会議室に集まるという研修形態は、ソーシャルディスタンスを保つ観点からも望ましくありません。

そこで、最近企業がこぞって導入しているのがeラーニングシステムです。
eラーニングシステムは通常、教育研修コンテンツとLMS(学習管理システム:Learning Management System)から成り立っています。

LMSとは?

LMSとは、教育コンテンツの配信や成績、閲覧状況などを管理するシステムのことです。
eラーニングは古くはCD-ROMに格納された映像コンテンツによるものであったり、サーバーにある映像を社員が閲覧したりということが行われていましたが、これではだれがいつ閲覧したのかの管理や学習状況の進捗管理ができませんでした。

しかし、LMSを導入することによって、新しい教育コンテンツを簡単にアップできたり、誰が、いつ、どのコンテンツを閲覧してどのぐらい学習が進んでいるのかを把握したりすることができ、eラーニングが従来よりも大幅に効果的なものになりました。

eラーニングのサービス内容

eラーニングの基本的なサービス内容としては以下のようなものが挙げられます。
1.eラーニング運営会社が用意した独自の研修コンテンツの閲覧
2.企業が独自に作成した研修コンテンツ動画のアップ
3.社員の知識・技能レベルに合った教育コンテンツの配信とアクセス権の管理

サービス会社の中には、LMSを提供せずに単に独自コンテンツのみを配信するものや、研修や講座のプラットホームを提供して法人向けサービスにアレンジしたりするもの、LMSのシステム提供が主たるサービスのものなど、さまざまな形態があります。

eラーニングシステムには多くの種類がある

eラーニングが広く普及した今、eラーニングシステムも多くの会社から提供されています。
NTT東日本の提供するひかりクラウド スマートスタディや、累計受講者数5000万人以上という業界最大手の実績を持つネットラーニングのほか、初期費用無料且つ月額費用がリーズナブルなLearnOもそのひとつです。自社の規模や利用頻度、目的等に合うシステムを選定しましょう。

eラーニングを教育研修に活用するメリット

eラーニングを導入することで、同じコンテンツを繰り返し使うことが可能になることに加え、受講者がわかりにくいと感じた点についてはコンテンツを修正して配信するなどの作業が容易になります。
また、集合研修の場合にかかっていた研修会場費用や講師の派遣費用、社員の出張費などの経費を大幅に削減することができます。

しかし、eラーニングを導入する目的は、単に人事担当者の実務的な手間が省けたり、費用削減になったりするなどに留まりません。
もう一つの大きな目的として、「社員の知識スキルを効率的に向上させることにより、企業業績の将来的な改善に役立てること」が挙げられます。

eラーニングを教育研修に活用すると、時間的・金銭的な負担の軽減のほか、以下のようなメリットが期待できます。

効果的な教育研修が可能となる

LMSを活用したeラーニングを導入すると、研修実施者と受講者のインタラクティブなコミュニケーションが可能となるために、事前学習、受講後の知識定着チェック、反復学習などを組み合わせることにより、より効果的な教育研修が可能となります。

いままでのeラーニングは、講師が一方的に話す研修プログラムを閲覧した後に、学習チェック表を配る程度のもので、講師とのコミュニケーションは「無い」に等しい場合が殆どでした。
また、集合研修では講師とのコミュニケーションが多少はありますが、時間的・場所的制約があり、受講内容が限られてしまう上、受講者一人一人の理解度等を把握することは困難です。

この点、LMSを活用したeラーニングでは、講師が受講者の学習進捗、理解度についてシステムを通じて把握することができるため、一人一人の受講者に合ったきめ細かいアドバイスを発信することが可能となります。

均質のとれた研修を提供できる

eラーニングは受講者がいつでもどこでも受講できるシステムであるために、受講者が非常に多い場合でも、均質のとれた教育研修を提供・実施することが可能となります。

全国あるいは海外展開している会社やフランチャイズなど拠点数が多い会社においては、本部が要求する研修を各拠点で、しかも同一のレベルで実施することは特に困難です。

しかし、eラーニングの活用により、高いレベルの教育研修内容を全国・全世界に発信できるようになるために、拠点間での知識・スキルレベルの差を是正することが可能となります。
教育コンテンツを網羅的に作りこむことによって知識の偏りをなくし、会社の事業内容や業務内容について抜け目のない研修内容の提供ができるようになるでしょう。

継続的な学習および学習時間の増大が見込める

eラーニングシステムを用いた教育コンテンツを継続的に発信することにより、社員は継続的な学習が可能となり、ひいては学習時間の増大によるスキルアップの促進効果も期待できます。

OJTでは、日々の実務がこなせるようになるとそれ以上の範囲についての学習効果は半減します。
また、集合研修を継続的に行うことは難しく、単発若しくは数回での研修になり、且つ研修テーマも似通ったものになりがちです。

この点eラーニングシステムでは、段階的に知識・スキルレベルを上げていく形のプログラムを組んで提供することで、社員に継続的な学習を促すことが可能になります。
その結果、学習時間が蓄積されやすくなり、社員のレベルアップに要する期間が短縮されます。

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eラーニング導入のデメリット

eラーニングの導入により、教育研修担当者が会場や講師の手配をして研修を運営する等の実務的な負担から解放されますが、一方でeラーニングを運営するという仕事が増えます。
特に、eラーニングシステムの運用については、システムに関する知識・スキルがないと難しいことがあり、適任の人材をアサインできるかという点が導入のハードルになる場合もあります。

また、教育コンテンツの作成については、人事部のみならず、各部門のマネージャーの協力が不可欠であるために、システム導入の際には、各部署の責任者にも理解を求める必要があります。

eラーニング導入の際に注意すべきポイント

eラーニング・LMSは、うまく活用すれば社員のスキルアップに非常に効果的ですが、コンテンツの作成やシステム運用についてポイントを押さえて行わなければ、誰も使わないシステムとなってしまいます。
eラーニングを社内にスムーズに浸透させるアイデアとして、以下のようなポイントについて気に留めておくとよいでしょう。

繰り返し・継続して必要な教育コンテンツから作成・導入する

eラーニング導入の際は、新人研修、入社時の社内ルールの説明、社内システムの登録・利用方法など、必ず研修・説明が必要になるコンテンツの作成にまず取り掛かることをお勧めします。

そうすることで、eラーニングの存在を社内に認知させることができることに加え、導入当初の他部署の責任者の負担を軽減することができます。
初めは既にマニュアル等があって作りやすい入社初期の研修等のコンテンツ化からスタートし、徐々に全社的なものにしていくことで、初めから全ての部署の責任者に動いてもらう必要がなくなる上、入社初期の研修をしている部署以外の部署では、既存のコンテンツを参考にでき、コンテンツが作りやすくなるためです。

また、一般的なビジネスマナー研修や、エクセル・ワード、パワーポイントの使い方など、企業独自のコンテンツでなくてもよいものについては、外部の研修コンテンツも積極的に導入することで、作成にかかる人手を削減できると共に、素早く導入を進めることができます。

集合研修・ワークショップなどを開催して受講生の交流を図る

eラーニングは知識・スキルアップの機会を提供するよいツールですが、集合型でない分、受講生同士の交流機会は減少する傾向にあります。
同じコンテンツを受講した受講者同士の交流の場としてのワークショップ・OFF会などの開催や、従来型の集合研修の併用で、疑問点をシェアしたり新しいアイデアなどについてディスカッションしたりする機会を設けることにより、より能動的な研修が可能となります。

また、受講の区切りにそのような意見交流等のイベントを開催することで、受講生のモチベーションアップにもつながります。

全社的なイベントとしての認識を共有する

eラーニングのコンテンツ作成やシステムを通じてのフィードバック、理解度チェックなどは、eラーニングシステムの運用者のみならず各部署の責任者にも協力してもらう必要があります。
eラーニングシステムの運用者のみが、受講者の状況把握や進捗管理をするという形をとると、負担が集中した結果、結局は長続きしないということになり兼ねません。
そのため、導入に際し、全社的なビックイベントとして会社のトップメッセージとして導入の目的や効果を社員に説明した上で、会社が期待する将来の会社の姿をイメージしてもらうことがeラーニングシステムをより効果的に活用するための重要なポイントになってくるでしょう。

効率的な社員教育をめざす

今年に入ってからは特に、コロナウイルスの感染拡大を受けて、eラーニングシステムはますます注目を浴びています。業務内容が限られることになった業界では、これを機にeラーニングの導入を検討した企業も多いと聞きます。
今回解説したポイントを理解し、eラーニングシステムを自社で効果的に活用する方法について考えてみてはいかがでしょうか。

また、企業研修については他にもテーマ別に解説していますので、併せてご確認ください。

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