【解説】法定外福利厚生の種類と導入のポイント 

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従業員の業務に対するモチベーションを上げる、企業への満足度を上げる、従業員の定着率を高めるなど様々な効果を期待して、福利厚生を充実させようと思っている企業は多いと思います。
法定の福利厚生(健康保険、厚生年金など)については国によって導入が定められているため導入内容を迷う必要はありませんが、法定外福利厚生についてはどのようなものを導入したらよいか迷う方も多いのではないでしょうか。

今回は代表的な法定外福利厚生について、その種類と導入のポイントを紹介します。
自分の企業に合った福利厚生を検討するための参考になればと思います。

福利厚生については、他にもテーマ別に解説していますので、併せてご確認ください。
・福利厚生全体:【解説】福利厚生とは?概要や種類
・法定福利厚生:【解説】法定福利厚生の概要、種類
・法定外福利厚生のトレンド:【解説】人気の福利厚生とトレンドについて徹底解説
・福利厚生アウトソーシング:【最新】福利厚生のアウトソーシング|メリット・デメリットを徹底解説

住宅関連手当

住宅関連の法定外福利厚生は、最も人気のある福利厚生の一つです。
民間の就職支援サービス企業が行った新卒就活生アンケートで、あったらいいと思う福利厚生の1位になったこともあります。

代表的な住宅関連の福利厚生としては、寮や社宅の提供、家賃補助、住宅ローン補助(持家促進)が挙げられます

寮や社宅の提供

寮や社宅の提供は、企業が従業員のために社員寮を保有、もしくは社宅を借り上げて、従業員にいくぶん安価な賃料で賃貸する方法です。

以前は特に商社や損害保険企業など、転勤が多い職種の企業は企業が社宅を保有して従業員に提供していましたが(社有社宅)、社有社宅は老朽化すると会計上減損処理の対象になることなどから、借り上げ社宅に移行した企業が増加しました。

住宅補助(家賃補助)

住宅補助(家賃補助)とは、企業が家賃補助額を給与に上乗せして支払う方式です。
厚生労働省発表の平成27年度就労条件総合調査によれば、家賃補助の平均は17,000円でした。

住宅ローン補助

住宅ローン補助とは、企業が持家の所有を促進し、従業員に安定した資産形成を図ることを目的として、住宅ローンの一部を補助する制度です。

住宅関連の法定外福利厚生導入のポイント

住宅関連の法定外福利厚生は、全国の支店や営業所に転勤する頻度が高い企業が導入している場合が多く見られます。

また最近では、サイバーエージェントやクックパッド、ZOZOなどの企業が、企業の近くに住むことを奨励し、その上で社員の負担軽減につなげる目的で導入するケースがあります。
導入の目的を明確にすることで社員へのメッセージとして伝わりやすく、企業・従業員共にメリットを享受できる福利厚生になります。

住宅関連の福利厚生を導入する上で注意しなければならないのが税法上の問題です。
住宅手当の場合、所得税の控除の対象にならないために、給与とともに課税されて手取り額が減ってしまいます。

一方で、社宅の場合は一定額以上の家賃を従業員から徴収していれば所得として扱われないために、税法上の問題は解決できます。

社宅の中でも特に選択制借り上げ社宅制度では、企業にとっては企業が住宅費用を負担することなく社宅制度を導入でき、従業員にとっては社会保険料・税金負担が軽減され手取りが増加するため、企業にとっても従業員にとってもメリットの大きい制度です。

選択制社宅制度を含めた社宅制度については以下のページでも詳しく説明しています。
▼ネクストプレナーズの社宅制度コンサルティング
https://www.nextpreneurs.com/services/consulting03/

また、住宅ローン補助について利子補給の方式では、会社から補助を受けることにより本人の負担利率が1%未満となってしまうと住宅ローン減税(控除)が適用されませんので、本人負担利率が1%を下回らないような補助金額を設定する必要があります。

それぞれの問題点については税理士と相談しながら導入を検討したほうがよいでしょう。

慶弔・災害関連手当

慶弔・災害関連手当とは、従業員にお祝い事や万が一のことがあった場合に、従業員と家族をサポートするために設けられる手当です。
一般的な慶弔・災害関連手当には、結婚祝い金、出産祝い金、死亡弔慰金、傷病見舞金、災害見舞金があります。

結婚祝い金

結婚祝い金とは、従業員が結婚したときにお祝い金として支給する手当です。
金額は企業によって様々で、3万円から10万円ぐらいが多いようです。
一律に同じ金額が支給される場合がほとんどですが、中には勤続年数によって金額を変えているところもあります。

出産祝い金

出産祝い金とは、従業員またはその配偶者が出産したときに支給する手当です。
金額相場はほとんどが1万円から3万円、第二子以降は半額に設定している場合もあります。

死亡弔慰金

死亡弔慰金とは、従業員が業務上、または業務外で死亡した場合に支給する弔慰金です。
金額は企業によって様々ですが、業務上死亡の場合と業務外死亡の場合で差を設けている企業が多いようです。
また、従業員本人のみならず、従業員の家族が死亡した場合にも死亡弔慰金を支給する会社もあります。

傷病見舞金

傷病見舞金とは、従業員が病気や怪我などで入院、もしくは欠勤した場合に支給する見舞金です。
支給額や支給条件は企業によって様々で、一律一回支給のほか、業務上・業務外、入院日数などによって分かれている企業もあります。
金額は低い場合で5,000円から、入院日数が長い場合などは数万円程度の場合が多いようです。

災害見舞金

災害見舞金とは、従業員の自宅が災害によって被害を受けた場合に支給する見舞金です。
支給基準として持ち家か借家か、全壊か半壊かなどが設定されます。
中には、大規模な災害があったときにその都度定めるという企業もあるようです。
金額は損害の程度により、低くて1万円から、持ち家全壊で50万円など企業によって異なります。

慶弔・災害関連手当導入のポイント

慶弔手当は多くの企業で導入されているため支給方法についてもいろいろな事例があります。
他社の支給事例を参考にするのも良いでしょう。

また、死亡弔慰金や傷病見舞金などは場合によっては高額の支給になることから、企業保険で確保しておくことも必要になってきます。
手厚い慶弔手当を用意している企業は、企業保険でバックアップしていることがほとんどです。
従業員のための医療保険や死亡保険は全額損金計上できる場合が多いので、税理士や損害保険代理店などに相談してみましょう。

加えて、支給基準が明確でないと税法上課税対象となりますので、他の慶弔手当と同様、災害見舞金についても社内規定等で支給基準を明確に定めておく必要があります。

医療・保健関連手当

従業員の健康の維持は、業績の向上にも深く関係してきます。最近では、肉体的な健康のみならず、メンタルヘルスについても注目する動きが広まっています。
医療・保健関連手当には、主たるものとして、労働安全衛生法に基づく健康診断、法定外健康診断(人間ドック)、設備・備品の設置などがあります。

労働安全衛生法に基づく健康診断

医療・保健関連手当の福利厚生として代表的なのは、労働安全衛生法に基づく健康診断です。
労働安全衛生法第66条に基づき、事業者は労働者に対して年1回医師による健康診断を受けさせなくてはならず、労働者は健康診断を受けなければなりません。
健康診断の項目についても施行令で詳しく定められており、病院で行われる健康診断のメニューもそれに従って作られています。

法定外健康診断(人間ドック)

法定外健康診断(人間ドック)とは、労働安全衛生法に基づく健康診断の項目以外の健康診断です。
胃カメラや胸部CT、腹部エコ―などの項目が含まれています。
高額なものだと頭部MRIや腫瘍マーカー、PET(がん検診)もあります。

設備・備品の設置その他

その他の医療・保健関連手当としては、企業内に常時設置する常備薬、医務室・休養室・トレーニングジムなどの施設とその経費負担、メンタルヘルス等の相談業務の委託料の負担などが挙げられます。

医療・保健関連手当導入のポイント

医療・保健関連の諸手当や費用は企業側が負担する必要がありますが、それらの費用を企業の福利厚生費として税務上全額損金計上するためには、以下の要件を満たす必要があります。

1.全従業員及び役員若しくは一定年齢以上の希望者が全て検診を受けられること
2.健康診断を受けた者の全ての従業員及び役員を対象としてその費用を負担すること
3.健康管理の必要性に照らして、常識の範囲内(著しく多額とは言えない範囲)であること
※参考:国税庁・質疑応答事例 人間ドックの費用負担
所得税基本通達36-29

加えて、それらの費用は会社から医療機関に直接支払うことが望ましいです。
例えば従業員から医療機関に立て替え払いした金額について会社が後から補填したり、費用を先払いしたりしていた場合、その会社からの支給分が給与とみなされ、課税対象となる可能性が高いためです。

福利厚生費として計上するのであれば、自社の健康診断の実施方法がその要件等に照らして問題のない運用になっているか確認が必要です。

通常の健康診断の項目を全従業員に受けさせる場合には問題なく福利厚生費として計上できますが、特殊な人間ドックなどを採用する場合には、顧問税理士に一度相談したほうがいいでしょう。

最近では、メンタルについて不調を訴える従業員も増えてきていますので、精神衛生上のケアについても考える企業が増えています。
健康面でのバックアップは従業員に対する大きなアピールとなります。

会社規模に応じた適切な福利厚生を用意する

福利厚生の充実は従業員にとっても大きな関心事となっています。
特に今回説明した、住宅、慶弔、健康は多くの企業が採用する主要な福利厚生制度です。

しかし、大企業であれば充実した福利厚生制度を用意できますが、中小企業はすべてを大企業並みに整備するのは難しいでしょう。
企業が特に重要視しているものについては手厚くするなどのメリハリの付けた福利厚生にすることも一つの手段です。

自分の企業に合ったオリジナルの福利厚生制度を考えてみてはいかがでしょうか。

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働き方改革サポ編集部
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