【解説】ティール組織とは?概要からメリット・デメリットまで

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ティール組織とは、上司が逐一細かな指示をせずとも、個々従業員が自主的に判断・決定・工夫し活動する組織です。
テレワークの導入も急速に進んでいる昨今、従業員に自主性を求める働き方が改めて見直されています。

今回は「ティール組織」の概要から変遷、メリット・デメリット、導入の注意点まで解説いたします。

ティール組織の概要

そもそもティール組織の考え方は、従来のマネジメント手法の副作用を指摘するものです。
ティール組織が注目を集めるのは、このためであると言えます。
ティール組織の考え方は、現在多くみられるマネジメント手法をとる組織を「達成型組織」と定義し、その「達成型組織」の中で当たり前に考えられてきたこれまでのマネジメントの特徴を否定しています。

具体的な例としてティール組織の考え方では、従来のマネジメント手法の特徴である、
・業績向上へのプレッシャー
・役職や階級制度
・実力主義や能力主義
等の副作用を指摘しています。

例えば、業績向上のプレッシャーは、従業員の恐怖心を煽り従業員のストレスを高めることにつながります。また役職や階級制度は人の優劣を決定づける、実力主義や能力主義は一部の能力しか評価されないといった問題があります。

ではティール組織とは、どのような組織を指すのでしょうか。それは「マイクロマネジメントの必要性がない組織」です。
つまり上司が逐一細かな指示をせずとも、個々従業員が自主的に判断・決定・工夫し活動することが可能な組織であるといえます。

「マイクロマネジメントの必要性がない」とは、裏を返せば、セルフマネジメントを行うことが必要であるということです。
ティール組織には指示系統がないという特徴があります。これは、従業員ひとり一人の権限が従来の組織よりも強いことを意味します。
ひとり一人が各々に考え、各々に意思決定を行うことが求められる組織が、ティール組織です。

また、企業の生存を目的としないことも特徴のひとつとして挙げられます。常に「いつ倒産するか分からない」という恐怖を従業員に与えてきた達成型組織に対して、
ティール組織の考え方では、この恐怖によるマネジメントは従業員を疲弊させるとの見解に立ち、「生存を目的とすること」を否定します。

更に、従業員が仕事用とプライベート用の姿を分けることなく、自分らしく仕事に臨むこともティール組織の特徴の1つです。

ティール組織を含む5つの組織モデル

ティール組織実現までの過程には、ティール組織を含み5つの組織モデルがあります。
1つ目が、「Red組織(衝動型)」の段階です。トップからの圧力や恐怖による支配を主とする組織で、短絡的な考え・衝動的な行動が多いという特徴があります。

2つ目が、軍隊のように、集団による支配が行われる「Amber組織(順応型)」です。このような組織では、長期的な目標達成のために個々に明確な役割が与えられており、その役割に沿って行動するため安定はしているものの、状況の変化に弱いという特徴があります。

3つ目が、「Orange組織(達成型)」と呼ばれる組織で、現代日本の企業の多くが当てはまると言える組織構成です。ヒエラルキーは存在するものの、成果を上げることで昇進が可能です。「成果主義」「数値管理」で成り立っているが故に、過剰労働につながりやすいという特徴があります。

4つ目が、ヒエラルキーを残しながらも個人の尊重が重視される「Green組織(多元型)」です。Orange組織のような数値管理ではなく、個人の主体性や多様性を尊重した働き方を目指します。ボトムアップによる意思決定方法を採用しているのも特徴のひとつですが、最終決定権者はトップにありますし、個人を尊重する故に、なかなか合意がとりづらいという面もあります。

そして5つ目が、本記事にて紹介している、「ティール組織(進化型)」です。

ティール組織の変遷

日本において、ティール組織が一般に認知され始めたのは2018年頃でした。ティール組織を説明した書籍「Reinventing Organizations」の日本語訳がこの年に発売されたためです。
「Reinventing Organizations」の原書(著者:フレデリック・ラルー)は、日本語訳の発売より4年前の2014年に発売されました。

この本が発売されてからというもの、ティール組織は大きな注目を集めてきました。その理由としては、現代社会の状況が大きく関係します。
たとえば市場の変化スピードの変化も要因のひとつです。市場の変化は今までと比較して、格段に早まっています。市場の変化が早まることで、従来型のマネジメントは通用しない場面も出てきました。
従来の組織は意思決定の遅さが市場の変化スピードについていけません。

また、従来の組織マネジメントの手法に疲弊を覚える人もいます。加えて労働者の価値観が変容し、仕事以外のプライベートも重視する人もいるのです。
こうして、組織のあり方も見直される必要が出てきました。

つまり現代の状況と相まって、ティール組織の考え方は多くの人の共感を呼び、大きな注目を集める要因となったということです。
さらに今後はコロナウイルス感染拡大の影響もあり、「働き方」や「組織の在り方」に変化が求められます。
このような状況においては、ティール組織の考え方はますます、注目を集めるでしょう。

ティール組織のメリット

①従業員ひとり一人の能力を最大限活用できる

ティール組織を取り入れるメリットの1つが、従業員ひとり一人の能力を最大限活用できるということです。
これはティール組織の特徴が大きく関係しています。

まずティール組織では「階級制度」や「役職」の副作用を指摘し、従来の組織では当たり前に考えられてきた「指示系統」が存在しません。
そのため各従業員の権限が強くなり、意思決定の裁量も大きく認められているのです。

加えてティール組織である条件には、自分らしく働けることも含まれます。従来の組織では、評価されなかった個性も評価対象に該当するのです。
たとえば「昇進に対する考え方」や「仕事の捉え方」などが異なる人も正当にホールネス(全体性)が評価されるのがティール組織のメリットと言えます。

以上の2点よりティール組織を取り入れることで、今までよりも各従業員の個性が発揮され、パフォーマンスの向上が期待できます。

②マネジメントコストの削減

ティール組織の導入には、コストの観点からもメリットが存在します。マイクロマネジメントの必要性がないためです。

マイクロマネジメントでは、従業員を細かく管理するための監視が常にマネージャーに求められます。
そのためにはマネージャーの業務の大半が管理や監視に割かれてしまい、本来担当すべき重要な業務に割く時間が削られます。
これはコストの面から考えても、企業の大きな損失と言えるでしょう。

この点、ティール組織を導入すれば従来のマネジメントコストは大きく削減できます。これは企業にとってティール組織を取り入れる大きなインセンティブといえます。

ティール組織のデメリット

次世代組織モデルとして大きな注目を集めるティール組織ですが、すべてが完璧なわけではありません。
当然、デメリットもあります。それが「各従業員の自立(セルフマネジメント)なしには成り立たない」ということです。

ティール組織は繰り返し述べてきたように、指示系統をなくし各従業員の裁量を大きく認めるマネジメント手法です。
これは企業にメリットをもたらす一方、裏を返すと大きなデメリットにもなります。

たとえば多くの従業員が、今まで自主的に働いていなかった組織では、ティール組織を導入しても、従業員が急速に自主性をもって、創造性あふれるアイデアを出したり、的確な意思決定を行ったりすることは困難です。

組織には大きな混乱が生じ、業績は落ち込むでしょう。これがティール組織の前提が崩れ、成り立たない場合のデメリットです。

ティール組織導入の注意点

①指示系統をなくせば良いわけではない

ティール組織は先述したように、マイクロマネジメントを否定し「階級制度」や「役職」による指示系統を持たないことが特徴です。
しかしティール組織を導入するにあたり、ただ単純に指示系統をなくせば良いというわけではありません。指示系統を無くしても個々の従業員が適切に判断・行動・工夫できるよう、会社の目指す方向性や指針について、従業員の理解を深める措置を行うことも大事になります。

②ティール組織が最も優秀とは限らない

ティール組織の導入で注意すべきことの1つに「ティール組織が最も優秀なマネジメント手法とは限らない」という点が挙げられます。

各企業にはそれぞれの組織文化が根付いており、その文化を唐突に変化させることは、外形的な組織改革をもっても困難です。また、業種や業務内容、従業員の個性によっても向き不向きがあり、それら含めた全ての要素により、各組織に適した「マネジメント」や「組織構造」が存在するでしょう。
一概にティール組織だけが、正しい手法ではないということを、導入前に再確認しておく必要があります。

まとめ

今回の記事では「ティール組織」に焦点を当てて、その概要から変遷、メリット・デメリット、導入の注意点まで解説いたしました。

ティール組織に対する注目は、今後さらに高まることが推測されます。人事に携わる皆さんも組織マネジメントの1つの手法として、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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働き方改革サポ編集部
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