【社内研修のコツその2】一定のラインがなかなか突破出来ないときは?

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研修参加者の中には、「知っているから早く次に進んで欲しい。」、「同じことにあまり多くの時間を割くのは無駄だな。」、などの反応があることがあります。今回は研修を設計するにあたって意図していることを書きます。

まず、学習レベルには5段階あるといわれています。

第一段階:無意識的無能 あることに関して知らないし、知らないことさえ知らない段階

第二段階:意識的無能 あることに関して知ってはいるが、実行することができない段階

第三段階:意識的有能 あることに関して、知ってはいるが実行するには意識して行わなければならない段階

第四段階:無意識的有能 あることに関して意識しなくても実行できる段階

第五段階:無意識的有能 無意識に行っていることを意識して教えることのできる段階

従って、知識として知っているけれども、実行したことがない、実行できない状態は第二段階でしかありません。

ビジネス研修において、どこに目標を設定するかというと、時間が許すならば「第四段階」に設定することが多いです。理由は研修の成果が実践に活かされず、研修で学んだことが忘れ去られて基に戻ってしまうことを避けるためです。

テニスで例えるなら、ラケットの握り方、振り方は知っている自己流の「第二段階」の状態を、「正しい握り方と振り方」を教えてもらい素振りを1回するだけでは、習得できず、元の状態に戻って成長しません。「第三段階の意識して実行できる状態」へ移行するのには、素振りを100回行う必要があるかもしれません。さらに第四段階へ移行するには、より多くの素振りが必要になるでしょう。

ビジネスにおいても同様で、学習したことを1回ロールプレイングをしても「第三段階」には到達せず、繰り返し時間をかけることが必要です。繰り返し行うとある一定のレベルまでは到達します。ここから、あまり変化がない、伸びが感じられなくなることがあります。ダイエットで言うならまだ脂肪はたくさんあるのだけれどもしばらく体重が落ちない、といった状態でしょうか。この状態は「学習のプラトー」と呼ばれています。

このプラトーであきらめることなく、続けることで次のレベルに上がる「ブレイクスルー」に繋がります。このブレイクスルーポイントが、どの程度の回数をこなせば良いのかは習得する技術にもよりますが、一つのポイントは20回ぐらいでしょうか。

ブレイクスルーしたときの受講者の悦びは格別で、研修講師・研修設計者としても時間を掛けたかいがある瞬間でもあります。知識を習得し、意識をして実践する段階から次のレベルに上げるには、少なくとも時間と回数をかけ、アウトプットすることが必要です。

今回は「学習のプラトー」と「ブレイクスルーポイント」について書きました。何事も一足飛びとはいかないものです。

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伊藤 真哉
日本を含む4か国の企業で研修、トレーニングに携わってきました。ビジネスコミュニケーション、評価者研修、セールストレーニングなどお気軽にご相談ください。DiSC認定資格者

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